植物学者 牧野富太郎を記念した、高知市の「高知県立牧野植物園」。
今回は、旅行記番外編として、南門近くの南園にある、広々として花盛りだった開園50周年記念庭園を中心に植物をご紹介します。
※アクセス等は旅行記の記事をご覧ください。
秋田では温室や鉢植えでしか見られない植物が、地植えされていた
ゴクラクチョウカ(ストレリチア)
いわゆる「クリスマスローズ」
ちなみに、ヘレボルス(ヘレボラス)という植物の中で、クリスマス頃に開花するものだけを「クリスマスローズ」と呼ぶそうだが、日本ではそれ以外の時期に咲くものもクリスマスローズと呼ぶことがあるとのこと。これはどっちなんだろう?
【2016年4月30日追記】クリスマスローズは耐寒性があり、秋田でも地植えされていることがありました。当時は知らなかった…
とにかく、やっぱりここは南国だ。
園内に「土佐寒蘭センター」という建物がある。
日本にも蘭が自生する。北日本ではシランやネジバナはよく見るが、南日本に自生するカンランという種を栽培化したものが展示されている。
秋から冬に咲くのでカンラン(寒蘭)というそうだが、今も花が咲いていた。派手ではないが、品のある花。栽培は非常に難しいそうだ。
お正月にめでたい植物として、赤い実を付ける植物が飾られる。
センリョウ(千両)やマンリョウ(万両)が有名だが、別名「百両」と言われるカラタチバナという植物があり、その園芸品種が展示されていた。
写真は白い実の株と縮れた葉の株。百両の名前は知っていたが、北日本には自生していないこともあり、見るのは初めて。マンリョウとカラタチバナは近縁で、「ヤブコウジ科」に属する。ヤブコウジという植物もあり、これは秋田市の千秋公園などの山や民家の庭に生えている。高さ15センチくらいのとても小さな「木」で、赤い実を付けるので、別名「十両」と言われるそうだ。
竹が植えられた一角も。北日本ではササが多く、タケは少ないので、竹林自体珍しいが、珍しい種のタケもあった。
金色と緑に色分けされているのはマダケの変種の「キンメイチク(金明竹)」。節が変わった形なのはモウソウチクの変種「キッコウチク(亀甲竹)」。いずれも初見。
春を告げるコブシの仲間も花盛りから終わりかけ。
これはコブシかな?
「北国の春」の歌詞の影響か、寒い土地の植物だと思ってしまいがちだが、高知にも自生するようだ。
北日本に多いのは、コブシの変種「キタコブシ」だが、これも近くで咲いていた。コブシに比べ、木・花ともやや大きく、枝分かれが少ないとの解説だったが、いまいち違いが分からない。
千秋公園にあるのは、どっちだろう。もう数週間で咲くかな。
もう少し経てば、もっと花が咲くのだろうが、それでも
桜・菜の花・サクラソウが咲いて、春、真っ盛り
後ろの方で濃いピンクの桜が咲いている。
一重咲きだが、花弁が大きく存在感がある。
おそらく高知城で咲いていた早咲きの桜もこれだと思うし、この植物園内でもたくさん咲いていた。
「センダイヤ(仙台屋)」という品種で、東北の仙台から高知に移って商売を始めた「仙台屋」の屋敷で咲いていたことから名付けられた桜で、牧野富太郎が好んだという。
宮城のヤマザクラの系統らしいが、遠く離れた高知で親しまれているようだ。
牧野富太郎の銅像。柄の長いキノコ(?)を持っている
マンサク科「トサミズキ」の花
「土佐」と名前が付いているが、北日本にはないのだろうか。初めて知った。
春先に淡い色の花を咲かせるのが、いかにもマンサクの仲間らしい。
最後に、展示されているのではなく、園内に自生している植物でも初めて見たものがあった。
白いタンポポ。西日本に多く分布する「シロバナタンポポ」だと思われる。
秋田では在来種でも黄色いタンポポしか見たことがないが、西日本では場所によっては白花がわりとメジャーなようだ。(今はセイヨウタンポポが増えてしまったけれど)
一般的に、日本在来種のタンポポは、萼の下の「総苞片」が反り返っていないのが特徴だが、シロバナタンポポは少し反り返っており、このタンポポもセイヨウタンポポほどではないが、やや外向きになっていた。
花は真っ白ではなく、舌状花という外側部分が白く、中央部は黄色い。舌状花の枚数は他の種より少ないようだ。
2時間かけてじっくり回った。
最後にミュージアムショップに寄ると、牧野自身のスケッチを元にした一筆箋など、手頃で植物好きにはうれしいオリジナルグッズが揃っていた。
ショップは園内に2店あり、経営者が違うので、商品構成が若干異なるかもしれない。
北国に住む者としては、同じ日本国内の温帯地域なのに、秋田とは違う植物がたくさんあり、初めて見た種も多くとても見応えがあった。
また、今まで訪れた植物園や植物をテーマにした公園の中には、手入れが追いつかず荒れている一角がたいていあったものだが、ここは隅々に至るまでとてもよく手入れが行き届いていたように感じた。
動物園や水族館ほど派手に脚光を浴びる施設ではないが、植物と人の関わり、高知が生んだ牧野富太郎の功績を伝える施設として、もっと注目されていいと思う。
間もなく完成する温室や、夏など他の季節にも来てみたいけれど、暑いのが苦手だから、融けてしまうだろうな…
帰りも遍路道の石段を下りていったが、行きと別の場所に出てしまった。でも川沿いの道路なので容易にバス停にたどり着けた。日頃歩いているせいか筋肉痛にはならなかったが、膝やもものヘンな場所が数日間痛くなった。
今回は、旅行記番外編として、南門近くの南園にある、広々として花盛りだった開園50周年記念庭園を中心に植物をご紹介します。
※アクセス等は旅行記の記事をご覧ください。
秋田では温室や鉢植えでしか見られない植物が、地植えされていた
ゴクラクチョウカ(ストレリチア)
いわゆる「クリスマスローズ」
ちなみに、ヘレボルス(ヘレボラス)という植物の中で、クリスマス頃に開花するものだけを「クリスマスローズ」と呼ぶそうだが、日本ではそれ以外の時期に咲くものもクリスマスローズと呼ぶことがあるとのこと。これはどっちなんだろう?
【2016年4月30日追記】クリスマスローズは耐寒性があり、秋田でも地植えされていることがありました。当時は知らなかった…
とにかく、やっぱりここは南国だ。
園内に「土佐寒蘭センター」という建物がある。
日本にも蘭が自生する。北日本ではシランやネジバナはよく見るが、南日本に自生するカンランという種を栽培化したものが展示されている。
秋から冬に咲くのでカンラン(寒蘭)というそうだが、今も花が咲いていた。派手ではないが、品のある花。栽培は非常に難しいそうだ。
お正月にめでたい植物として、赤い実を付ける植物が飾られる。
センリョウ(千両)やマンリョウ(万両)が有名だが、別名「百両」と言われるカラタチバナという植物があり、その園芸品種が展示されていた。
写真は白い実の株と縮れた葉の株。百両の名前は知っていたが、北日本には自生していないこともあり、見るのは初めて。マンリョウとカラタチバナは近縁で、「ヤブコウジ科」に属する。ヤブコウジという植物もあり、これは秋田市の千秋公園などの山や民家の庭に生えている。高さ15センチくらいのとても小さな「木」で、赤い実を付けるので、別名「十両」と言われるそうだ。
竹が植えられた一角も。北日本ではササが多く、タケは少ないので、竹林自体珍しいが、珍しい種のタケもあった。
金色と緑に色分けされているのはマダケの変種の「キンメイチク(金明竹)」。節が変わった形なのはモウソウチクの変種「キッコウチク(亀甲竹)」。いずれも初見。
春を告げるコブシの仲間も花盛りから終わりかけ。
これはコブシかな?
「北国の春」の歌詞の影響か、寒い土地の植物だと思ってしまいがちだが、高知にも自生するようだ。
北日本に多いのは、コブシの変種「キタコブシ」だが、これも近くで咲いていた。コブシに比べ、木・花ともやや大きく、枝分かれが少ないとの解説だったが、いまいち違いが分からない。
千秋公園にあるのは、どっちだろう。もう数週間で咲くかな。
もう少し経てば、もっと花が咲くのだろうが、それでも
桜・菜の花・サクラソウが咲いて、春、真っ盛り
後ろの方で濃いピンクの桜が咲いている。
一重咲きだが、花弁が大きく存在感がある。
おそらく高知城で咲いていた早咲きの桜もこれだと思うし、この植物園内でもたくさん咲いていた。
「センダイヤ(仙台屋)」という品種で、東北の仙台から高知に移って商売を始めた「仙台屋」の屋敷で咲いていたことから名付けられた桜で、牧野富太郎が好んだという。
宮城のヤマザクラの系統らしいが、遠く離れた高知で親しまれているようだ。
牧野富太郎の銅像。柄の長いキノコ(?)を持っている
マンサク科「トサミズキ」の花
「土佐」と名前が付いているが、北日本にはないのだろうか。初めて知った。
春先に淡い色の花を咲かせるのが、いかにもマンサクの仲間らしい。
最後に、展示されているのではなく、園内に自生している植物でも初めて見たものがあった。
白いタンポポ。西日本に多く分布する「シロバナタンポポ」だと思われる。
秋田では在来種でも黄色いタンポポしか見たことがないが、西日本では場所によっては白花がわりとメジャーなようだ。(今はセイヨウタンポポが増えてしまったけれど)
一般的に、日本在来種のタンポポは、萼の下の「総苞片」が反り返っていないのが特徴だが、シロバナタンポポは少し反り返っており、このタンポポもセイヨウタンポポほどではないが、やや外向きになっていた。
花は真っ白ではなく、舌状花という外側部分が白く、中央部は黄色い。舌状花の枚数は他の種より少ないようだ。
2時間かけてじっくり回った。
最後にミュージアムショップに寄ると、牧野自身のスケッチを元にした一筆箋など、手頃で植物好きにはうれしいオリジナルグッズが揃っていた。
ショップは園内に2店あり、経営者が違うので、商品構成が若干異なるかもしれない。
北国に住む者としては、同じ日本国内の温帯地域なのに、秋田とは違う植物がたくさんあり、初めて見た種も多くとても見応えがあった。
また、今まで訪れた植物園や植物をテーマにした公園の中には、手入れが追いつかず荒れている一角がたいていあったものだが、ここは隅々に至るまでとてもよく手入れが行き届いていたように感じた。
動物園や水族館ほど派手に脚光を浴びる施設ではないが、植物と人の関わり、高知が生んだ牧野富太郎の功績を伝える施設として、もっと注目されていいと思う。
間もなく完成する温室や、夏など他の季節にも来てみたいけれど、暑いのが苦手だから、融けてしまうだろうな…
帰りも遍路道の石段を下りていったが、行きと別の場所に出てしまった。でも川沿いの道路なので容易にバス停にたどり着けた。日頃歩いているせいか筋肉痛にはならなかったが、膝やもものヘンな場所が数日間痛くなった。