麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

トロイアの女たち

2007年01月15日 | 鑑賞
 今年最初の観劇は、大阪芸術大学舞台芸術学科3年生による『トロイアの女たち』(原作/エウリピデス、作/サルトル、演出/末木利文)になった。
東京芸術劇場中ホールでの2回公演(1:00、5:00)の、僕はソワレに足を運んだ。

 『トロイア~』は古代ギリシャ悲劇の一編で、ピンと来ない人でも“トロイの木馬”といえば「ああ、なんか聞いたことある」って思うのではないでしょうか? 今ではコンピュータウィルスとして有名ですが、その特色が元祖(?)トロイの木馬に似ているから、逆にそう称されているわけで(コンピュータに詳しい人から言えば、トロイの木馬はウィルスとは違う分類らしいが)・・・。

 トロイア戦争において、手詰まりになったギリシャ軍が大きな「装置」の中に隠れ主力は撤退。トロイアの民が戦利品としてそれを城内に持ち込み、宴を催す。深夜に装置から出て仲間を引き入れて、ついにトロイアを陥落させた。その決め手となった装置が「トロイの木馬」だ。
 この手口と前述のコンピュータアプリケーションの動作が似ているというわけだ。

 さて舞台は、その後の残された女達のそれぞれの運命にスポットを当てながら、墜ちていく。。。まさに悲劇!
 まるで救いのないストーリーだ。

 よく養成所でもかかる演目でチラシなどは良く目にしていたが、僕自身、観るのは始めてだった。
 なるほど、未来しかない役者の卵が、明日のない物語を、そのパワーで凌駕するってのが狙いなのか、とまず思った。

阪芸の面々も、まさにその狙いに応えた演技を魅せてくれた。
 演技演出コース、ミュージカルコースの役者が混合していたが、良い意味でそう見えなかった。前者はダンスシーンで見劣りがなかったし、後者の台詞回しにも独特の癖が見受けられなかった。

 阪芸にはスタッフ養成学科もあり、客席後方に組んだ音響セットには、揃いのTシャツがズラリ。その辺りには通常オペレーター数人が普通だが、それはそれで壮観だった。舞台音響効果コースの面々だろう。
 きっと3階部分の照明室には舞台照明コース、舞台裏には舞台美術コースのメンバーが、同様にひしめいていたのだろう。
                                 
 ちなみに舞台芸術学科にはもうひとつ、舞踊コースがあって、その演技映像が上演前に大スクリーンに投影されました。…なかなか凝った映像でしたが、同大には映像学科といのもあるからそこが絡んだりしたのだろうか…。

 話が横道に逸れすぎました。
 『トロイアの女たち』の話・・・。
 また、タイトルからも解るように、女性が多い演目なので、そういう座組にはうってつけと言える。
 ただやはり余りに古い演目で、衣裳など工夫はみられたが、正直キツい面もあった。けれども逆に、美しい重みのある「日本語」を、若い時期に体を通しておくのは素晴らしいことで、その点からも多くの《卵》たちがレパートリーとするのだろう。

 女性が多い。台詞の持つ訓練性。
 この2点から下北沢演劇祭などでやるのもありかな、と、ふと思ったりもしました
 
コメント
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