麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

田中さんの青空/つづき

2008年05月28日 | 鑑賞
                         【文中敬称略】
 5/15(木)~25(日) 於:ステージ円  
 演劇集団円『田中さんの青空』
 (作/土屋理敬、演出/森新太郎)
 
 とても楽しく観て、恐らく現時点で今年のNo.1
 そうして最終的には2番手を死守するだろうと思われる舞台でした。ので、昨日一日では語りきれなかった分を書かせていただきます。。。
 と、その前に、何故2位に後退するかといえば、秋に東演の『空ゆく風のこいのぼり』(作/藤井貴里彦、演出/磯村純、制作/高橋俊也)が控えているからです

 さて。個人的な意気込みはさておき。

 演出も大変良かったです
 『ロンサム・ウエスト』(06年10月)でも、その才能をいかんなく発揮した森新太郎が、今回も切れ味バツグンでした。
 色んなブログを見ていても、ホンを書いた土屋理敬は勿論、モリシンへの期待の高さが伺え、嗚呼、やはり力のある人物には、すぐ注目が集まるのだな~と、改めて思いました。

 役者も、皆、役に見事にハマッていました。
 これまた多くのブログでも散見されますが、山乃廣美が魅せます。配役の代わった馬渡亜樹も、結果オーライでした。林真里花とはタイプの違う友達同士が「あり」だったし、何より山乃-馬渡ラインにリアリティがあった。

 昨日も少し触れたけれど、バラバラの、一つひとつは奇妙な形をしたピースが、どんどんと組み合わさって行って、パズルが完成に向かう芝居。。。

 万引きした初老の婦人(山乃廣美)の若い頃が、産婦人科で診察を受ける女性(馬渡亜樹)で、その親友がデパートのママ(林真里花)で、彼女の娘が大きくなった姿が痴漢を捕まえる女性(乙倉遙)であり、そんな4人が口にする「田中さん」はカラオケで『魅せられて』や『精霊流し』を熱唱している(片岡静香)

 。。。と5人は一つの輪になってゆく

 関係はつながるけれど、同時に、観る側が勝手に「同じ時間軸」だと思っていた世界観は粉砕される。

 さらには、一人芝居が重なる中、アクセントのように挿入される一人目の男(大竹周作)と二人目の男(上杉陽一)の会話までが、な、な、なんと、別の電話に、あるいは別のゴルフ練習場で、観客には見えない誰かと会話していた・・・そう、ここも一人芝居ってカラクリだったりするのである。

 当然、その男達が本編に関係ないわけがなく、大竹は山乃、馬渡の夫で、かつ林の不倫相手であり、乙倉に捕まり職を失ったのが上杉で、ようやく見つけたバイト先で歌っていたのが片岡。。。
 
 こんな風に構造を書いても、まるで面白くないのは解っているが、書かずにはいられなかった。

 最後に。
 「葡萄」もキーワードになっていて、それを膨らませる為なのだろう、グレープだの、精霊流しだの、さだまさしだのを、そこここに撒き散らして笑いをとっておいて(?)、終盤、不倫を苦に自殺した親友の姿を見たあとに「葡萄みたい」と言わせるセンス、個人的にとても好きです

 で。本日、奇しくも僕は知人に誘われて、まっさんのコンサートに行く。
コメント
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