一昨日降った雪は夜半には止んで、
まもなく氷状に成りアスファルトなどにへばりついた。
近くの公園で頬紅く喜んだ子供らの、
一転今朝は通学路で足をすくって泣かせた。
その声と救急車のサイレンが重なる。
向かう先は転んで尾骶骨を打ったもとへか、
それとも新種の病原に冒された者へか。
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「先輩、うちの賞も来るところまで来ましたね。
応募が3桁っすよ、3桁」
「数より質だろ。ミレニアムの頃も1000割ったけど
スポーツ小説だの青春小説だの、割と面白いのあった」
「野球の書いた彼はのちに警察モノでブレイクしましたね。
あ、たまたまでしょうけど二人とも北関東出身だ」
上の写真は、1月6日の六本木の路地。
そしてCOVID-19新規感染者急増のニュース。
この日は前週の約10倍の645人、と数字は東京。
そして今日、雪はほとんど解けて消えたけれど
新型ウイルスは1000人超え。
もちろん数に踊らされることなく冷静に恐れたい。
滑る道路を冷静に恐れて、置いていかれたバイク。
これも6日の写真。
話が行ったり来たりしたけれど。
冒頭は『雪とオミクロン』というタイトルの小説で、
老舗の文芸賞に投稿されるも、編集者にはまるで響かず
後輩が愚痴っている・・・の図。すべてフィクション。
ここからは本当の話になる。
昔は、もっと沢山振雪が降ったものだ。
子供の長靴の丈以上に積もって、
中に入り込んでくるほどだった。
なので、雪だるまも十分大きいのが作れた。
・・・恐るべし、温暖化
それから時のうつろいも怖かったりする。
小説の応募数にも似て、演劇界における
新劇というジャンルを目指す若人も
残念ながら減少の一途。かたや声優志望者は、
って思えば20年くらい前から言っている気がする。
頑張ろう
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ふだんは気がつかない日向と日陰を雪は明確にする。
表情がツルツルの、氷状になるのは日陰だ。
私はヒナタのリードを少し緩めた。
彼女はいつもと同じ道のいつもと違う質感を喜び、
走り出した。意思は前方なはずだが、四肢は斜めに滑る。
ヒナタは懸命に、懸命に足掻いている。
サイレン。
十日前まで働いていた工場のそれと知っているのに、
音に反応して振り返った。
六本の煙突に一文字ずつ、社名が刻まれている
「尾・身・ク・ロ・ー・ン」