前回の拙文で、老舗の書店を訪ねた話の流れから、
その歴史を伝えるべく中山晋平の名前を出した。
「カチューシャの唄」「ゴンドラの唄」で名を成した
稀代の作曲家は、島村抱月の書生をしていた縁で
「芸術座」旗揚げに参加し、前者はトルストイの『復活』、
後者はツルゲーネフ『その前夜』の劇中歌を産み落とした。
ともに松井須磨子の歌唱で大ヒット! 1914、15年のこと
中山は逸れ以前、故郷・長野で代用教員だった。
その頃の渾名が「唱歌先生」。
そしてブログタイトルは『美しきものの伝説』での役名。
芸術座で活動しながら、1922年まで教壇に立っていた史実からか。
童謡『シャボン玉』『証城寺の狸囃子』、
流行歌『船頭小唄』『波浮の港』(作詞はすべて野口雨情)
など数々の名曲を世に放つ前夜の、若き時代・・・。
中山晋平と演劇という括りでいえば。
菊池寛の小説『東京行進曲』の映画化とタイアップして、
曲を中山、作詞西条八十、歌唱を佐藤千代子で1929年発表の
同名レコードが、またとてつもなく売れた。
そして、中山と千代子を主要人物とした舞台が、
時を超え1990年、東京芸術劇場のこけら落としとして、
作・齋藤憐、演出・千田是也で上演されたのだが、
いよいよ来月開幕の、新劇交流プロジェクトⅡによる
『美しき~』で
大女優・松井須磨子を演じる渡辺美佐子も、
その『東京~』に出演していた一人である。
本プロジェクト同様、芸劇こけら落としの『東京~』も
当時の新劇団オールスターで上演され、それを観たなかには、
卒業論文に取り上げたハナタレもいたよーだが、
それはまた別の話。
お陰様で、18~20日は完売いたしました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます