桜に目を奪われている隙に、タンポポが咲いていたのだな。咲くどころか背の高いのは、もう綿毛になっていた…。
その綿毛が、人口雪の結晶を完成させる決め手になった芝居を昨夜観た。
風琴工房『砂漠の音階』(作演出/詩森ろば ザ・スズナリ 4/5~12)
実在する科学者・中谷宇吉郎をモデルにした、朝から晩までのとある一日を描いた1シークエンスのお芝居。舞台は北海道。午後には雪の降る・・・基本的には凛とした劇世界。それを木調の美術といい、でしゃばらない照明といい(ただもう少し時間経過は見えても良かったが)良く表現していて、中でも音響が、繊細なプランニングで本当に素晴らしかった。さすが青木タクヘイ氏だ!
さて本編。
(昨夜千秋楽を迎えたのでネタバレで行きます。)
賛否が分かれるところだろうが、見事に完成した人工雪の結晶を顕微鏡(?)で覗くクライマックスのあと、それまで脇に徹していた研究員のラブストーリーが突然短く展開するのだが、僕は面白かったです。本編が、これは良い意味で言うのだが、思いのほか盛り上がらないので、構成上成立するな!と思ったのだ。
二人の未来が、同時に多くの市井の人々の将来に差す光明にも感じられて…。
いきなりラストについて書いたが、全体を見渡せば・・・。
パンフによれば、中谷氏の著作の中から印象的な人物やエピソード、言葉を選りすぐり凝縮したとのこと。そのバランスが良いと思った。どれか一つが特化するとか、どこかに向かって収束するのではなく、まさに雪の結晶のようにバランス良く配置された挿話のひとつひとつがそれぞれに成立して、六花を形づくるというような・・・。
独特な、耽美の香る作品が多かった詩森戯曲(個人的には非常に好きでした)が、年々しっかりした骨組みの作風にかわってきて、あわせて演出の腕にも磨きがかかっている。『砂漠~』でも狭い演技エリアをうまくさばいていた(その狭い空間を縫って動くのに適した笹野鈴々音嬢の存在も大きい!)。欲を言えば(気持ちはわかるが)もー少し役者のテンションにコントロールがあってもな、と…。
笹野嬢の名前が出たので言えば、オープニングの机を拭くシーンは印象的。また風琴の未来を担うであろう宮崎美子嬢の、具体的に言えば防寒服の中のはしょった着物を見せるシーンなどの溌剌とした中に華のある演技も特記しておきたい。
次回は名作『紅き深爪』を新キャストで、京都にて・・・風琴をはじめとした小劇場の旬の劇団が集うTOKYOSCAPE……その企画全般にも、とっても期待する、新劇の制作者の一人である。
そして今夜、いよいよインターネットTVにて
『見果てぬ夢』の宣伝で~す
19:30~生放送……誰が出るかな?
世田谷テレビアドレス http://www.oresai.com/tv/
その綿毛が、人口雪の結晶を完成させる決め手になった芝居を昨夜観た。
風琴工房『砂漠の音階』(作演出/詩森ろば ザ・スズナリ 4/5~12)
実在する科学者・中谷宇吉郎をモデルにした、朝から晩までのとある一日を描いた1シークエンスのお芝居。舞台は北海道。午後には雪の降る・・・基本的には凛とした劇世界。それを木調の美術といい、でしゃばらない照明といい(ただもう少し時間経過は見えても良かったが)良く表現していて、中でも音響が、繊細なプランニングで本当に素晴らしかった。さすが青木タクヘイ氏だ!
さて本編。
(昨夜千秋楽を迎えたのでネタバレで行きます。)
賛否が分かれるところだろうが、見事に完成した人工雪の結晶を顕微鏡(?)で覗くクライマックスのあと、それまで脇に徹していた研究員のラブストーリーが突然短く展開するのだが、僕は面白かったです。本編が、これは良い意味で言うのだが、思いのほか盛り上がらないので、構成上成立するな!と思ったのだ。
二人の未来が、同時に多くの市井の人々の将来に差す光明にも感じられて…。
いきなりラストについて書いたが、全体を見渡せば・・・。
パンフによれば、中谷氏の著作の中から印象的な人物やエピソード、言葉を選りすぐり凝縮したとのこと。そのバランスが良いと思った。どれか一つが特化するとか、どこかに向かって収束するのではなく、まさに雪の結晶のようにバランス良く配置された挿話のひとつひとつがそれぞれに成立して、六花を形づくるというような・・・。
独特な、耽美の香る作品が多かった詩森戯曲(個人的には非常に好きでした)が、年々しっかりした骨組みの作風にかわってきて、あわせて演出の腕にも磨きがかかっている。『砂漠~』でも狭い演技エリアをうまくさばいていた(その狭い空間を縫って動くのに適した笹野鈴々音嬢の存在も大きい!)。欲を言えば(気持ちはわかるが)もー少し役者のテンションにコントロールがあってもな、と…。
笹野嬢の名前が出たので言えば、オープニングの机を拭くシーンは印象的。また風琴の未来を担うであろう宮崎美子嬢の、具体的に言えば防寒服の中のはしょった着物を見せるシーンなどの溌剌とした中に華のある演技も特記しておきたい。
次回は名作『紅き深爪』を新キャストで、京都にて・・・風琴をはじめとした小劇場の旬の劇団が集うTOKYOSCAPE……その企画全般にも、とっても期待する、新劇の制作者の一人である。
そして今夜、いよいよインターネットTVにて
『見果てぬ夢』の宣伝で~す
19:30~生放送……誰が出るかな?
世田谷テレビアドレス http://www.oresai.com/tv/