たけじいの気まぐれブログ

記憶力減退爺さんの日記風備忘雑記録&フォト

安住洋子著 「いさご波」

2023年12月22日 19時12分33秒 | 読書記

図書館から借りていた、安住洋子著 「いさご波」(新潮社)を、読み終えた。本書には、「沙の波(いさごのなみ)」「暁の波(あかときのなみ)」「ささら波」「夕彩の波(ゆうあやのなみ)」「澪の波(みおのなみ)」の、武家に生まれた男たちの矜持と葛藤、家族の絆を清冽に描いた短編5篇が収録されている。5篇それぞれに、「波」がつけられており、海をイメージさせているが、その海は、目の前に広がるものや、生活の傍らにある海ではなく、主人公達の、遠くにありながら、心の中にある海であるように描かれている。一話完結であるが、いずれも余韻を残す作品だ。

「沙の波」
 ▢主な登場人物
 藤野幸右衛門(前橋藩祐筆役)、登瀬(幸右衛門の妻)、虎太郎(幸右衛門の長男)、
 壮亮(幸右衛門の次男)、雪乃(幸右衛門の長女)、松助(藤野家の中間)

 戸部陣内(前橋藩筆頭家老)、真崎兵庫(前橋藩組頭)
 酒井忠恭(さかいただすみ、前橋藩藩主)
 ▢あらすじ
 代々赤穂藩に仕えた藤野家、浅野と吉良の刃傷事件の後、江戸深川の裏店へ流れ着いた
 藤野父子。父子二代の浪人暮らしを経て、幸右衛門が、22歳の時、前橋藩に仕官が叶った。
 念願の禄を得、祐筆役として、地道にお役目に励み心休まる平穏な日々を送っていたが、
 ある日の下城後、筆頭家老戸部陣内の屋敷に呼ばれて、家族にも明かせぬ重大な密命を受ける。

 恩義が有る家老掛井半之丞を上意討ちとは・・・、
 しかし上意に背くこと等出来ない・・・、揺れ動く幸右衛門、迷いは禁物・・・、

 何かが聞こえて来る。蛙の声だ。いや波の音だ。ああ、瀬戸内だ。坂越浦だ。
 「江戸へ行こうな、幸右衛門」、父は笑みを浮かべてくれるだろうか・・・。

「暁の波」
 ▢主な登場人物
 神崎幸四郎(摂津三田藩士)、
 小野木柾頼(おのぎまさより、幸四郎の友人)、佐和(柾頼の妻)、千代(佐和の娘)
 宗八(佐和の暮らす裏店の大家)、おきぬ(佐和の裏店の隣の女房)
 三乃吉(筆屋の元手代)
 宗八(佐和の暮らす裏店の大家)
 ▢あらすじ
 家督相続争いの末、鳥羽から摂津三田、丹後綾部に二分、転封された九鬼家。
 摂津三田藩祐筆役の神崎幸四郎は、友人の小野木柾頼の墓を参り、
 殺害された柾頼の真相を知りたい 残された妻と子の様子を知りたい一心で
 三年ぶりに鳥羽を訪ねたが、答志島では崖から突き落とされ負傷。
 摂津三田へ帰る幸四郎を追う佐和・・・。

「ささら波」
 ▢主な登場人物
 向井甚八(御蔵番、35石取り)、節(甚八の妻)、
 良介(甚八の長男)、昌己(甚八の次男)、
 箕島宗太郎(家中随一の剣の遣い手)、佐々木豊彦(徒目付)
 ▢あらすじ
 下級藩士の向井甚八は、剣術には少々自信を持っていたが、突然呼び出され、御前試合の
 遣い手の一人にされる。名誉を喜び、翌日には江戸に出立したのだったが、実は、
 御前試合は名目で・・・。江戸浅草の藩邸で出迎えたのは、目付の佐々木豊彦、
 不正疑惑で出奔した箕島宗太郎とは?、
 江戸深川木場のはずれで、「今から踏み込む」・・・、甚八の頬からは血が滴り落ち・・・、

 妻が持たせた手ぬぐいが真っ二つに裂けており・・・、
 「ささら波」とは、わずかな風で立つ、ささやかな波のこと、ささやかな暮らしを意味して
 いるようだ。


「夕彩の波」
 ▢主な登場人物
 市来和志(いちきかずし、摂津三田藩士、徒目付、17歳)、琴江(和志の姉)、
 苑江(和志の母)、お継(市来家の女中)、佐弓(和志の許婚)、
 松嶋遼太郎(和志と徒目付同僚、17歳)、松嶋妙美(遼太郎の妹、13歳)、
 松嶋啓介(遼太郎の弟、15歳)

 茂吉(油問屋の主人)、およし(茂吉の女房)
 春日部光輝(御奥番頭)、春日部謙志朗(光輝の父、隠居)、春日部元喜(謙志朗の次男)
 九鬼隆律摂津(くきたかのり、三田藩藩主)

 ▢あらすじ
 舞台は、摂津三田。摂津三田九鬼家の徒目付の市来和志は、同僚松嶋遼太郎と市中見回り中に、
 暴れ馬に襲われそうになった女と男を体を張って助けたが、和志は左足に大怪我を負って
 しまう。
 半年間のリハビリ後、職場復帰した和志に対して、「市来を呼べ・・・・」と女郎屋で
 立て籠もるのは春日部元喜?、何故?、

 和志は、遼太郎の腕をほどき、戸口に向かい、ひんやりとした土間に入る。暗い。
 目が慣れると脇に梯子段があるのがわかった。
 一段一段、踏みしめて上がった。梯子段が軋む。

「澪の波」
 ▢主な登場人物
 武内康平(13歳、武内家の次男)、武内高宣(武内家の嫡男、普請組60石)
 千穂(康平、高宣の姉)、千穂、高宣、康平の母
 樋渡尚文(ひわたりなおふみ、医者)、お粂(樋渡尚文の家事手伝い)、
 九鬼隆季(たかすえ、丹波綾部藩藩主)
 藤井隼人(康平の儒学仲間)、
 多助(呉服屋の丁稚)、
 近衛三郎右衛門(丹波綾部藩祐筆役)
 登坂実倖(さねゆき、元樋渡尚文と普請組時代の同僚)、登坂つね(実倖の母)
 ▢あらすじ
 舞台は丹後綾部。由良川丘陵の風景描写が美しく、そこで生まれ育った13歳の少年武内康平が
 医者の樋渡尚文のもとに通い、往診の供をし儒学を習い、家を出て弟子入りを願い出ようかを
 迷い、その進路は、・・・・。
 「先生のやりたいことを手伝いたい」「禄等欲しく無い」
 行く手に緑の丘陵が広がり、青く晴れた空に白い雲が鮮やかに浮かんでいた。




ふっと思い出した故郷の言葉 No.95 「ちったあ」

2023年12月22日 11時16分46秒 | 懐かしい故郷の方言

昭和20年代から30年代前半、幼少期を北陸の山村で過ごした爺さん、当時 聞いたり、話したりしていた言葉(方言)も、ほとんど思い出せなくなっている。根っからの地元民ではなかった家族の中で育ったこともあり、身に染み込んでいなかったからだと思う。それでも 時々 何かのきっかけで ふっと思い出すことがある。記憶曖昧、多少ニュアンスが違っていたり、勘違いだったりの可能性も有りだが またすっかり思い出せなくなる前に 爺さんの引き出し、ブログ・カテゴリー「懐かしい故郷の方言」に、書き留め置くことにしている。

当時の北陸の山村の実家の近くの風景
村落で自動車を保有している家等無かった時代、
当然、現在のような除雪車両等無く、
根雪になると、雪解け時期までは、雪上をかんじきで踏み固めた一本道を 
長靴でズブズブ埋まりながら往来、登校したものだった。
今日あたり、こんな風景になっているのかも知れない。


No.95 「ちったあ」

「少しは」という意味合いで使われていた言葉のような気がする。

例えば

「ワルサバッカリコイトラント、チッタア、ベンキョウ、センナランゼネ」
(悪戯ばかりしていないで、少しは、勉強しなければなりませんよ)

「キンノウニクラベリャ、チッタア、ヌクトイソイ、ハタケ、イコマイカ」
(昨日に比べれば、少しは温かいですから、畑にいきましょうか)

コメント (4)

今冬最強寒波襲来と冬至

2023年12月22日 10時10分23秒 | 暮らしの記録

(NHK天気予報より)

西高東低の冬型気圧配置が強まり、今冬最強の寒波の南下で、昨夜あたりから、新潟、富山、石川の北陸3県を中心に、北海道から九州に掛けての日本海側等で、大雪、積雪、初雪になっている様子が伝わってきている。
いよいよ、冬将軍が本気になって?、総攻撃を仕掛けてきた感じだ。
雪深い北陸の山村育ちであり、雪対策の大変さが身にしみて分かる。
すでに交通混乱が生じているようだが、大きな災害が発生しないことを祈るばかりだ。

当地、今日の日の出時刻は、6時49分頃、快晴。
因みに、日の入時刻は、16時33分頃
日長時間は、約9時44分
今日は、「二十四節気」のひとつ「冬至」である。
北半球では、1年で最も日長時間が短い日である。
「冬至」については、「二十四節気」とは何?も分からなかった子供の頃に教えられ、「夏至」と共にしっかり覚えた日でもある。あまり馴染みのないように見えるが 現在でも 季節季節の変わり目の挨拶等に、無意識に使っていることが多い気がする。
「二十四節気」とは、節分を基準に1年を24等分して約15日毎に分けた季節のこと。
例えば、「冬至」も、最初の1日、12月22日だけを指す場合と、その日から約15日間を指す場合が有る。
   「冬至冬中冬始め(とうじふゆなかふゆはじめ」
という、冬至の頃からが、本格的な冬の厳しい寒さになるという意味合いの諺が有るが、今年は、どんな冬になるのだろうか。
「冬至」の日には、地方によっては、小豆粥やかぼちゃを食べたり、冷酒を飲み、柚子湯に入り 身体を温める風習があるという。

(ネットから拝借)