小倉百人一首で「夏」を詠んだ歌 その3
夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを
雲のいづこに 月やどるらむ
出典 古今集(巻三)
歌番号
36
作者
清原深養父(きよはらのふかやぶ)
清少納言の父清原元輔の祖父(曽祖父)。
藤原兼輔や紀貫之等とも親交があった歌人。
三十六歌仙の中には入っていない。
管弦、特に琴の名手だったとされている。
歌意
夏の夜は短くて、まだ宵の内だと思っていたのに、もう明けてしまった。
これでは、月はとても西の山の端に行きつけまい。
それでは、いったい雲のどのあたりに、月は宿るのであろうか。
詞書(ことばがき)
「月のおもしろかりける夜。あかつきがたによめる」
注釈
「夏の夜」・・陰暦の4月、5月、6月が「夏」。
季節が秋ならば 月への思いが中心に歌われるが
夜になったと思う間に もう明け方に近くなり、
上の句でまず、なんと短い夏の夜なのだろうという感動を表し、
下の句で 月への関心を高めている。
「小倉百人一首」解説本(文英堂)参照・引用
(つづく)