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諸田玲子著 「狸穴あいあい坂・嫁ぐ日」

2020年11月13日 10時47分07秒 | 読書記

図書館から借りていた 諸田玲子著 「狸穴あいあい坂」シリーズ、第4作目の作品、 「嫁ぐ日」(集英社)を 読み終えた。昨年の1月に 第1作目「狸穴あいあい坂」、第2作目「狸穴あいあいあ坂・恋かたみ」、第3作目「狸穴あいあい坂・心がわり」を読み終えていて、その続編を期待していたが、今年3月に 刊行さていたことを知り、早速借りてきたものだ。諸田玲子氏の最新書である。

まみあなあいあいざか         
諸田玲子著 「狸穴あいあい坂・嫁ぐ日」

目次
「ツキエ」、「幕間」、「花の色は」、「水と油」、
「いらない子」、「それぞれの道」、「嫁ぐ日」

主人公は 火盗改方与力溝口家の娘結寿(ゆず)。前編では 結寿の嫁ぎ先、御手先組与力小山田家が 知らなかったとは言え、盗賊の片割れを半年も屋敷に居候させた処罰として 無役の小普請組に格下げになり 組屋敷から麻布十番馬場丁の小家に引っ越したあたりで終わっていた。

引っ越して1年経ち、小山田家は 舅万右衛門が頭をまるめ、当主である結寿の夫万之助も、姑久枝も優しく、遠縁のお婆さんと 結寿は何の不満も無く暮らしていたが、夫万之助が急死したことから 物語の展開が早くなる。小山田家は 万之助の弟新之助を当主とすることになり、結寿は 義弟新之助と縁組し小山田家に残るか、実家溝口家に戻り再婚するかを迫られる。結寿は どちらも望まず、万之助との娘香苗(かな)と共に、小山田家を出て、口入れ屋ゆすら庵の離れで隠居暮らししている元火付盗賊御改方だった祖父溝口幸左衛門と一緒に暮らすことを決意する。心の片隅に、生涯報われることが無いと分かっていながら 思慕する妻木道三郎の面影を胸に抱きながら・・・。
口入れ屋ゆすら庵の傳藏てい夫婦の子供、長女のもと、長男の弥之吉、次男の小源太もそれぞれ成長、「花の色」では 弥之吉(21歳)が夫婦約束したおすみが盗賊の片割れと疑われてしまう事件が・・。実は・・。
「水と油」では 結寿が 溝口幸左衛門の小者、元吉原で幇間をしていたお調子者の百介の様子の異変を感じるところから物語が始まっている。結寿は 吉原に出掛け、そこで山吹(花魁)殺害事件と遭遇、そこに妻木道三郎が。「・・・結寿どのに会えるのは物騒な出来事があったときばかりだ」、不謹慎にも 結寿 胸踊るひとときだった。
結寿、香苗、母娘が 家を出た後、小山田家は 新之助が当主となり 寿美代を娶り安泰、御先手組に返り咲き、組屋敷に引っ越していたが 結寿の実家溝口家から 結寿の扱いについて 無礼な言いがかりを付けられている。結寿が 実家溝口家の父、継母に抗議。そんな折 香苗が 迷子になり、人攫いに遭う事件発生。妻木道三郎の一人息子彦三郎が駆け付ける。「父もそれがしも 香苗どのを身内と思っています。我が娘、我が妹だと・・・・」、結寿は 鳩尾に手をやる。
香苗は 救出され、旅芸人一座の子供達、サキチ、トビマル、ヨウセ、ヤチの身の振り方を考えてやる結寿。「一歩踏み出す・・・」、道三郎は じっと結寿の眸を見つめる。「俺たちも 心寂しい思いをするのは もうお終いにしないか。・・・・おれは結寿どのと共に生きていきたい」。火付盗賊改方与力の娘結寿と 町奉行同心で息子まである寡男道三郎では、恋が実るはずがないと諦めて、それぞれの道を進んでしまったが お互いに 胸の奥にその想いは燃やし続けていたのだった。実家溝口家の父、継母からは、「不浄役人」と「出戻り娘」と嫌味を言われるが 「・・・これで、天下晴れて夫婦になれる」。二人は 小山田家の墓へ向かう。万之助に報告し、許しを願った。「彦太郎どのの良き母になれますように。新たな家族に囲まれて香苗が健やかに暮らせますように」。


諦めていた恋が成就し、町奉行同心妻木道三郎の妻女となった結寿、妻として、彦三郎、香苗の母として、捕り物にも絡みながら、これまでとは異なる物語が始まるような気がする。続編を期待したいところだが どうなのだろうか。

 

 

 

 

 

 


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