集英社 2004年 第十七回小説すばる新人賞受賞作
姿の見えない戦争、それはいかにも不気味だ。
紙の上でだけ死者数が表され、そこに実感はない。
戦争というものの恐ろしさは、それをしない者には実感が伴わ
ないことなのだ。
この作品でも、まわりの人は死んだと言われるが、そこに、
「リアル」はない。
すべてにおいて、ここでは「リアル」らしいことはない。
香西さんの肉体さえもが空虚だ。そして、香西さんさえ、手に
することは本当の意味では「ない」のだ。
すべてが手の指の間をすり抜けていくようだが、確実に、巻き込ま
れていっている恐ろしさ。
読後に、作者の描ききった感が如実に感じられる、快心のデビュー
作でしたね。
姿の見えない戦争、それはいかにも不気味だ。
紙の上でだけ死者数が表され、そこに実感はない。
戦争というものの恐ろしさは、それをしない者には実感が伴わ
ないことなのだ。
この作品でも、まわりの人は死んだと言われるが、そこに、
「リアル」はない。
すべてにおいて、ここでは「リアル」らしいことはない。
香西さんの肉体さえもが空虚だ。そして、香西さんさえ、手に
することは本当の意味では「ない」のだ。
すべてが手の指の間をすり抜けていくようだが、確実に、巻き込ま
れていっている恐ろしさ。
読後に、作者の描ききった感が如実に感じられる、快心のデビュー
作でしたね。