集英社文庫 1987年
このアド・バードというSF作品が存在すると知って
一年くらいずっと読んでみたいものだ、と念願して
いた。横川の古本市で見つけたときは狂喜してし
まった。しかも百円だ。サイコーである。
期待通りだった。僕はたまーにSFを読むという程度の
SF好きだが、この作品の世界観に魅せられてしまった。
地ばしり、海ばしりというイメージに飛んだモチーフに、
コマーシャルで満ち溢れた荒廃した街、C4という脳なし
と呼ばれるロボット、箱形の脳髄だけの人間もどき、その
どれもがユニークで、ブライアン・オーティスという人の
作品は読んだことはないが、一度、読んでみなくてはなるまい
と思わせる。
父親探しの旅だが、そのとき、ラストを読んでいるときに
坂本龍一氏のレインを聴きながらだったのだが、実に
よくあっていた......合掌。
(鶴岡 卓哉)