この投身を持って、不完全な生活はしばしの間
封印しようとおもう。この不完全~の運が良け
れば、どこかで読まれることもあるかもしれな
いが、僕は、どうしても読んでいただきたいと
も思わない。
僕はもともと書いてはいるけれど、発表意図は
あまりなく、その作品の完成をもってして完結し
ているのだ。
まあ、読んでいただけるなら、恥ずかしながら、
読んでいただこう。
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その運命を甘受しようと僕は崖から身を投げようとする
その時に僕は甘美なる笛の音を聞く
それが誰の仕業であろうと僕を踏みとどまらせたのは確かだ
絶壁に切り立った断崖で僕は死を決意していたのだ
死を決意するということは全てを放棄することだ悟ったのだ
僕は放棄などできやしない、ただ僕にできるのは受け入れることだけだ
その笛は誰の仕業でもなかった
心の中から湧き上がる精神のざわめきだったのだ
僕は悔いる、その死を決意したという動機は
ただ君への未練だったのだ
その未練さえ今や僕の力だ
自分を変えるだけの力をもった僕は
ありあまる生への渇望へと変えたのは
自分自身だけなのだと分かったのだ