新潮文庫 2009年
「かけら」が川端賞を受賞している。「かけら」では家族全員で
出かけるはずだったさくらんぼ狩りに父娘二人で行くことになった
顛末が描かれている。
桐子はカメラ教室に通い始めていて、その課題に「かけら」をテー
マに撮って来い、というのがあるところから、このタイトルである。
人間にフツーの人なんていないってことは当然のこととしても、こ
のお父さん「遠藤忠雄」も確たる一個の人間として描かれている。
しかし、通勤すれば、通勤する人に紛れて分からなくなる、という
風体である。たぶん、この人は、というか、文学というものすべてに
言えると思うんだけれど、人生を描きたいんだ、と。
そこには元カノを想う男がいたり、西表島から大学を見に来た従妹を
もてなす、若夫婦が現実と向かい合い、戦う姿が描かれる。
虚構でありながら、リアルを追求する姿勢こそ、想像力を喚起され、
果ては自分を豊かにしてくれる何かであるはずなのだ。
「かけら」が川端賞を受賞している。「かけら」では家族全員で
出かけるはずだったさくらんぼ狩りに父娘二人で行くことになった
顛末が描かれている。
桐子はカメラ教室に通い始めていて、その課題に「かけら」をテー
マに撮って来い、というのがあるところから、このタイトルである。
人間にフツーの人なんていないってことは当然のこととしても、こ
のお父さん「遠藤忠雄」も確たる一個の人間として描かれている。
しかし、通勤すれば、通勤する人に紛れて分からなくなる、という
風体である。たぶん、この人は、というか、文学というものすべてに
言えると思うんだけれど、人生を描きたいんだ、と。
そこには元カノを想う男がいたり、西表島から大学を見に来た従妹を
もてなす、若夫婦が現実と向かい合い、戦う姿が描かれる。
虚構でありながら、リアルを追求する姿勢こそ、想像力を喚起され、
果ては自分を豊かにしてくれる何かであるはずなのだ。