「奇妙な味の小説」所収。
左京氏と言えば、「日本沈没」のSF小説で、
ディストピア小説だと思われる。
1960年代の日本で、20代の若者に突如、
赤紙が来て、召集される日に、突如、この世から
消えてしまう。という事件が頻発する世界を描
いている。
それはパラレルワールドで、起こっていることが、
影響していると思っていたが、どうやら、念力で
この世界を捻じ曲げている男がいて、その男というのが
精神病院に入っている主人公の父親らしい、という
ことになる。チチキトクと召集一時間前に迫り、精神病院
にタクシーで急ぐ主人公。そして、説得を試みるも、
死んでしまったらしい、「天皇陛下万歳」と叫んだ父親
を前にして、背後でガチャリと佩剣(はいけん)の音が
するのを聞くのだった。
この本は1988年のものであり、やはり活字が活きていて
良かった。初版本でした。
(読了日 2024年8・26(月)23:20)
(鶴岡 卓哉)
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