「別冊文春」71年9月
阪神で育ち、そこで大学にも通った男が、
神戸へホステスを連れていく。佐々木は
ホステスを抱くのだが、フツーの男の怖
さがここにある。なんで平気な顔をして
ホステスを抱けるのか、怖い。その昔、
戦時中に学生だった佐々木は、古本屋の
豚のような年上の女とようやく付き合い
だし、裏山でまぐわい、その豚のような女
が妊娠したことを知る。女は蟻地獄に蟻を
落とし、楽しそうにしていた、というのが
効果的に描かれる。伸ばし伸ばしにしてい
る返答に、とうとう空襲が来て、豚娘は死
んでしまったことを知る。佐々木はホステス
と味わう快楽の味を想う。この佐々木は色キチ
だろうか、それとも、フツーの男というのは
昔は、みんな色キチだったのだろうか。考えさ
せられてしまう、おれっちだった。
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