古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

蟻の穴      遠藤周作

2021-12-11 01:43:09 | 小説の紹介

「別冊文春」71年9月

 

阪神で育ち、そこで大学にも通った男が、

 

神戸へホステスを連れていく。佐々木は

 

ホステスを抱くのだが、フツーの男の怖

 

さがここにある。なんで平気な顔をして

 

ホステスを抱けるのか、怖い。その昔、

 

戦時中に学生だった佐々木は、古本屋の

 

豚のような年上の女とようやく付き合い

 

だし、裏山でまぐわい、その豚のような女

 

が妊娠したことを知る。女は蟻地獄に蟻を

 

落とし、楽しそうにしていた、というのが

 

効果的に描かれる。伸ばし伸ばしにしてい

 

る返答に、とうとう空襲が来て、豚娘は死

 

んでしまったことを知る。佐々木はホステス

 

と味わう快楽の味を想う。この佐々木は色キチ

 

だろうか、それとも、フツーの男というのは

 

昔は、みんな色キチだったのだろうか。考えさ

 

せられてしまう、おれっちだった。

 

 

 


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