幻冬舎文庫 1995年
この世界で一番怖いものをひとつ挙げよ、と問われたら
迷わず、退屈、と答えるだろう。
退屈ほど怖いものはなく、人をダメにするものはない。
ボクもエッセイをいろいろ読んできたが、ダメな人も
けっこういた。その命題たるものは、退屈である。
という一語に尽きる。文章にアレがないとダメなのだ、
と思う。アレ、とは、アレである。そう、ボクもとうとう
ボケてしまって、アレというようになってしまってねえ、じゃ
なく、アレだ。
アレっていうのはアレである。そのアレってやつがこの人には
あるのだと思う。檀一雄にもあったし、開高健にもあったアレ
である。
いや、それは褒めすぎかとも思うが、30歳にして、アレを持
っているとはすごいねえちゃんだったんだねえ。
ナチュラルボーン的なものかとも思うが、ボクも持って生まれて
きていればええなあ、と自分の才能に若干の不安を持つおれっち
だった……合掌。
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