映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「雨無村役場産業課兼観光係1」 岩本ナオ 

2010年07月15日 | コミックス
さりげなく前向きの若者たち

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雨無村役場産業課兼観光係 1 (フラワーコミックス)
岩本 ナオ
小学館


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少し前に、何かの紙面で紹介されていたので、このたび手に取ってみました。
東京の大学を卒業して、故郷の雨無村役場に就職することになった銀一郎。
ところがこの村の高校生以上の若い者は、
彼と幼なじみのメグミ、コンビニのバイト店員澄の3人だけ。
銀一郎はこの特産も名所もない村で観光係を命じられるのですが・・・。


今風の若者像なのだろうと思います。
決して熱血過ぎず、さりとてやる気なくぐうたらではない。
しらけてもいない。
淡々としているけれど、さりげなく前向き。
いいですよね。
こういう男子は好きです。
こういう男子は結婚しても、仕事一筋、家のことは知らんぷり、
などということにはならないだろうし、
家庭と仕事のバランスをうまくとるんじゃないかという気がします。

何しろ私がこれまで見たり読んだりしてきた漫画にしても本にしても、
団塊世代を照準としたものばかり。
その中の主人公たちは、熱血であるか、ぐうたらであるか、冷め果てているか、
どれかでした。
銀一郎のような等身大っぽい人物像を今の若い方はさりげなく描く。

そうして、「さりげなく前向き」が「やや力の入った前向き」になっていくあたりも自然で、
仕事のやりがいは何も大企業の一員でなくても十分にあるのだと言うあたりも、
うれしいのです。
若い人たちが地方で元気に活き活きと働くことができる。
そういう世の中がいいですね。


さて、これは少女漫画ですので、やはりあるのですよ。
ロマンスが。
この村では貴重な若い3人。
恋愛感情に発展しない方がウソですが、
これがまた、どうしようもなく一方方向オンリーの三角関係。
銀一郎は、ちょっと太めだけれど、気の利く世話女房タイプのメグミをいいなあと思う。
そのメグミは、澄緒にあこがれるけれど、彼は気づかない。
道行く誰もが振り向くイケメン草食系の澄緒くんは、実は銀一郎が好き(!?)
このどうにもならない三角関係を織り交ぜながら、
村おこしが進行していくのですね。
この巻ではまだ、やっと銀一郎の構想が浮かんだばかり。
とっとと次巻へ進むことにしましょう。

満足度★★★★☆