映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

レポゼッション・メン

2010年07月12日 | 映画(ら行)
人工臓器は人類を救うか・・・?



            * * * * * * * *

人工臓器の開発が進んだ未来。
人々は気軽に臓器移植を受けられるようになったのですが、
そのために高利のローンを組む。
それはこの臓器を販売しているユニオン社の戦略でもあるわけですが・・・。
さて、そうなるとこのローンの支払いが継続できずに滞ってくる人が出てくる。
このストーリーの主人公レミー(ジュード・ロウ)は、
滞納者の生きたままの体から、
有無を言わさず人工臓器を回収するというのを仕事にしている。
しかも腕利き。
つまりはヒトゴロシですよねえ・・・。

ところがある時、取り立てに失敗し重傷を負い、
自らが人工心臓を埋め込むこととなる。
そうなるともう怖くて、人の臓器が回収できなくなってしまうのです。
この映画のPR予告によると、人工心臓は8000万円ですって!
たちまち自分自身が滞納者となり追われる身となるのですが・・・。


取り出すのは、人工の臓器ではありますが、
生身の体を切り開くわけですから、かなりエグイです・・・。
が、ストーリー自体は特別どうと言うこともなく、やや拍子抜け。
なーんだ・・・と思いかけた最後の最後に、オドロキの真実が明かされます!
ははあ、なるほど、ここが味噌だったんですね。
このラストがなければ、
なんでわざわざジュード・ロウを起用したんだ・・・と言いたくなるところです。
このラストシーンでかろうじて及第点のSF作品となりました。



それにしてもねえ・・・、嫌な社会ですよねえ。
普通はローンはローン会社が組むのですよね。
だからどれだけ滞納があっても、販売会社自体の懐は痛まない・・・というのが普通。
だから、ローン会社は取りはぐれないように、事前の審査を厳しくする、と。
このユニオン社は直接自分のところでローンを組んじゃう。
だから現金払いより高利のローンを組むことを勧める。
滞納なら現物を回収して再利用か・・・。
これはもう医療が完璧お金儲けの手段ですねえ。
恐ろしい世界です。
結局金持ちばかりが高度の医療を受けられると言う
・・・現在の医療状況を突き詰めるとこういう話になるわけですね。
人工臓器にも是非保険を適用しましょう!!
(・・・そういう問題じゃないってば。)

2010年/アメリカ・カナダ/111分
監督:ミゲレ・サポクニック
原作:エリック・ガルシア
出演:ジュード・ロウ、フォレスト・ウィテカー、リーブ・シュレイバー、アリシー・ブラガ