映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ジェネラル・ルージュの伝説

2010年07月10日 | 本(その他)
一粒で二度も三度もおいしい・・・ジェネラル・ルージュ

ジェネラル・ルージュの伝説 (宝島社文庫) (宝島社文庫 C か 1-9)
海堂 尊
宝島社


            * * * * * * * *

この本、しばらく本屋の店頭で眺めていて不思議だったのです。
ジェネラル・ルージュはもちろん既に読んでいて
・・・あれ?
何でまた今さらこんなに大々的に売り出しているのだろう・・・と、思っていたのですね。
しかし、先日よ~く見てみると、
「ジェネラル・ルージュの伝説」とある。
え?そういえば私が読んだのは「ジェネラル・ルージュの凱旋」だっ!!
つまり別の本ではありませんか。
あわてて購入しました。
色も同じだし・・・、なんて紛らわしい。
でも実際、この本は、
「凱旋」のオマケみたいなストーリー短編が3つ収められています。


「伝説」は、速見医師の研修医時代。
彼が「ジェネラル」と呼ばれることとなった、そもそもの事件のことが描かれています。
ここでは後に登場する水落冴子がストーリーに絡んでくるのもお楽しみ。


次の「疾風」は、まさに、「凱旋」と時を同じくするストーリーですが、
事務長の三船の視点から描かれているのがミソ。
事務長からすると、
予算のことなどまるで無視の速見医師はとんでもないヤツだったわけですが、
この事件で見方が変わってくる・・・と言う具合。
もっとも、こういうところはちゃんと本編にも描写されていましたね。


最後の「残照」は、
「凱旋」の後、速見医師が去った東城大学医学部付属病院、救急救命病棟の光景。
取り残されたものたちの、さみしくちょっと気の抜けた感じを残しつつ、
でも、やはり底の方には速見医師の熱い思いは受け継がれているよう。


そして、この本にはさらに、
「海堂尊物語」、「自作解説」、桜宮市年表、登場人物リスト、用語辞典・・・等々、
たくさんの特典もついていまして、ファンの方必見です。
まあ、結局「凱旋」人気にあやかって、ついでにもっと本を売ってしまおう、
という魂胆丸見えの一冊。
まあ、面白いですけどね・・・。

こうしてみると海堂氏は大変意欲的に執筆を続けているほかに、
例のAi(オートプシー・イメージング)の推進もライフワークとして続けているんですね。
小説家としてではなく、医師として講演の仕事などもあるようで。

私はエンタテイメントに徹した氏のストーリーは嫌いではありません。
特にミステリや医療に固執しなくても、「黄金地球儀」なんかもいいですよね。
・・・ということで、今後も期待しております!!

満足度★★★☆☆