映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

抱擁のかけら

2010年07月28日 | 映画(は行)
大切な人なのに傷つけてしまい、また、自分も傷つく



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ペドロ・アルモドバル監督とペネロペ・クルス、
4度目のコラボレーションとなる作品です。
公開時に見損ねたのですが、あっという間にDVDが出ました。
うれしいですね。


これはミステリ仕立ての恋愛ドラマです。
14年前に車の事故で視力を失った映画監督マテオ・ブランコ。
その後はハリー・ケインの名で脚本家となりました。
物語はその14年前の事故に至るまでの顛末が描かれています。

14年前の彼の映画作品の主演女優がレナ(ペネロペ・クルス)。
マテオと彼女は恋仲になるのですが、彼女は実は富豪の愛人。
その富豪の嫉妬により妨害や事故が起こります。


様々な愛憎の中で生きていく私たち。
時に、人としてあるべきではない残酷な思いも浮かび上がってきてしまいます。
大切な人のはずなのに、傷つけてしまう。
そしてそのことで、自分もまた余計に傷ついてしまうという、感情の不思議さ。
こういうところをアルモドバル監督は実にうまく表現しますね。
ペネロペ・クルスはやはり適役で、
そのあでやかな顔立ちと裏腹に、
奥底の方に渦巻く情念とか哀しみなども感じさせる、まれな女優さんであります。



マテオを見守る風の助手の女性とその息子が、14年前にも現在にも登場します。
でも、実は大きな鍵を握っているのです。
ちょっとしたサプライズもあり、このストーリーに華を添えています。
私はこの方、好きだなあ。
息子もいいヤツで。


女優役のペネロペ・クルスはちょっぴり往年の女優さんも意識しているようで・・・

これはオードリー・ヘップバーン風

こちらはマリリン・モンローでしょうか。

抱擁のかけら [DVD]
ペネロペ・クルス,ルイス・オマール,ブランカ・ポルティージョ,ホセ・ルイス・ゴメス,ルベーン・オチャンディアーノ
SHOCHIKU Co.,Ltd.(SH)(D)




2009年/スペイン/128分
監督・脚本:ペドロ・アルモドバル
出演:ペネロペ・クルス、ルイス・オマール、ブランカ・ポルティージョ