映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「やってられない月曜日」 柴田よしき 

2010年07月23日 | 本(その他)
様々な出会いと感情が渦巻く“会社”という社会の縮図

やってられない月曜日
柴田 よしき
新潮社



           * * * * * * * *

これは以前読んだ「ワーキングガール・ウォーズ」の姉妹編となっています。
        興味のある方はこちらをどうぞ→「ワーキングガール・ウォーズ」

さて、これはつまり、OLとして働く女性たちの物語。
この本の主人公は高遠寧々、28歳。
一応大手の出版社経理部勤務。
コネ入社だったのを引け目に思っています。
名前とは裏腹にちっとも女っぽくなく、彼氏もナシ。
彼女の楽しみは、模型を作ること。
プラモデルとかではなくて、小さな家などの模型なんですね。
かなりオタクっぽい。
仕事には特に不満はないけれど、パワハラがあったり、不倫があったり。
会社の中で様々な人が出会い、いろいろな感情を抱え込んでいる。
そうしたことが見えるにつれ、
彼女は、この会社のすべての部屋の模型を作ろうと決心するのです。
机やいす、事務機器、人物も。
大きな会社なのでそう簡単にはできません。
ライフワークです。

この作品では、特に女性が一人で生きるという気負いはないように思えるのです。
そこはもう強調するまでもなく普通になってきた、ということなのかもしれません。


一番始めに、経費をごまかそうとする社員と壮絶なやりとりがありまして、
これがこの物語に私たちをあっという間に引き込んでしまいます。
このように、ぽんぽんと言葉が出れば気持ちいいのだけれど、と、
ちょっとうらやましくなってしまう。
しかし、この相手の男性の意外な一面を見たり、
また後には結構親しくなっていくと言う流れがなんだかうれしいですね。
それも、安直に恋仲になったりしないところもよろしい。
結婚がゴールではないのは大いに結構。

そうそう、ここにはワーキングガール・ウォーズの翔子さんが出てきます。
この寧々の叔母さんと言う役どころ。
寧々はこの威勢の良い翔子さんにあこがれているのです。
なんにしても、せっせと仕事し、
プライベートも好きなことがあって、活き活きと生活している。
これが一番です。
私ももう少しがんばってみよう、とちょっぴり思います。

満足度★★★★☆