映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ボトル・ドリーム/カリフォルニアワインの奇跡

2011年09月02日 | 映画(は行)
ワインにもあるフロンティア・スピリット

ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡 [DVD]
クリス・パイン,アラン・リックマン,ビル・プルマン,フレディ・ロドリゲス,レイチェル・テイラー
トランスフォーマー


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カリフォルニア、ナパバレーといえば
「サイドウェイ」などでもお馴染み、ワインの産地ですね。
この作品は、今のようにカリフォルニアワインがワインとしての一定の地位を収めるようになったきっかけを描く
実話を元にしたストーリーです。


1976年。ナパバレーで、趣味が高じ脱サラをしてワイン造りをしているジム。
息子ボー(クリス・パイン)は、当時でいうヒッピー風。
まともな職にも就かず、ワイン造りを手伝うと称してブラブラしている。
この当時、カリフォルニアでは盛んにワインが造られてはいましたが、
ワインといえばフランスというのが当時の常識で、
アメリカの人々も、ナパバレーのワイン醸造家自身も、
自分たちのワインを三流と思っていたのです。
そんなところに現れたのが、ワイン評論家のスティーヴン・スパリエ(アラン・リックマン)。
彼は英国人ですが、パリで活動をしていました。
フランスワインに飽き足りなくなった彼は、
カリフォルニアに渡り、ワイナリーを回ります。
そしてすっかりここのワインのとりこになってしまう。
やがて彼は、米仏ワインの試飲会を開き、
双方のワインの評価をしてもらおうと考えます。
さて、ジムとボーのシャトー・モントレーナのワインの評価は・・・?


この作品、日本では劇場公開がなかったんですね。
しかし、「スター・トレック」や「アンストッパブル」のクリス・パインに
「ハリー・ポッター」のスネイプ先生でお馴染み、
アラン・リックマンというユニークな配役。
劇場公開でも十分行けたのでは?と思うのですが・・・。

ジムが財産をすべてつぎ込んだワインが、何故か茶色に変色してしまうのです。
味はいいのに、これでは売り物にならない。
悲嘆した彼は、すべて廃棄業者に売り払ってしまうのですが・・・。
父からはどうにもならない放蕩息子と思われているボーが、
ここぞとばかりに面目を果たしていきます。
そういう父と息子のアメリカ的見せ場もあり、
また良質のワインの廃棄を防ぐというハラハラのシーンもあり、
実話を元にしたという割りには、とてもドラマチックで見入ってしまう作品なのです。

ジムは元々シロウトですから、生まれたときから葡萄畑と共に過ごしたような、
そうしたワイン醸造家でなければやはり無理なのだろうか・・・と悩んだりしています。
でも歴史的に見たら、アメリカのワイン造りそのものが
まだフランスからくらべたらずっと未熟ともいえますよね。
けれど、フロンティア精神で造った新しいものでも、長い歴史に負けないものができる。
そうしたアメリカの自負も見えて、すがすがしい作品だと思います。

何だかやたらワインが飲みたくなってしまいます。
そしてやっぱり一度はナパバレーに行ってみたいですね!


「ボトル・ドリーム/カリフォルニアワインの奇跡」
2008年/アメリカ/109分
監督:ランドール・ミラー
出演:クリス・パイン、アラン・リックマン、ビル・プルマン、フレディ・ロドリゲス、レイチェル・テイラー