ミクロからマクロへ めまい的四畳半迷宮
* * * * * * * * * *
「ついに証明した!俺にはやはり恋人がいた!」。
二年間の悪戦苦闘の末、数学氏はそう叫んだ。
果たして、運命の女性の実在を数式で導き出せるのか(「大日本凡人會」)。
水玉ブリーフの男、モザイク先輩、凹氏、マンドリン辻説法、
見渡すかぎり阿呆ばっかり。
そして、クリスマスイブ、鴨川で奇跡が起きる―。
森見登美彦の真骨頂、京都を舞台に描く、笑いと妄想の連作短編集。
* * * * * * * * * *
例によって、京都で繰り広げられる森見氏の学生ストーリー。
連作短編です。
個性豊かな面々が織りなす悲喜こもごも。
彼らが目指すのは真理の追求か
はたまた桃色ビデオか、
ついには無限につづく「四畳半」の王国か。
面白いといえば確かにに面白いのですが、
四畳半で思い出すのは、かの「四畳半神話大系」。
あのどこまで行っても四畳半が続くSF的無限四畳半の世界に魅せられた私としては、
こちらはやや物足りなく思われました。
森見氏が四畳半に抱く愛着はよくわかりますが、
それについては「神話大系」でやめておくのが賢明だったのではないでしょうか。
今作中、誰が見ても絶対に睡魔に襲われるという映画作品、
これなどはむしろ不眠に悩む人の福音であるかもしれません。
入眠映画として、DVDで出せば絶対売れるのになあ・・・・。
例えばある学生の虫歯をず~っとクローズアップしていくと
その親知らずの虫歯の山中を迷子になってさまよっている男がいる。
その男の傍らに一匹の蝸牛がいて、
その角のてっぺんに鴨川が流れており、
その両側に京都の市街が広がっている。
・・・というような、なんだかくらくらするミクロとマクロのつながりが、
とても興味深く思われました。
そこのところをもっと突き詰めていくと面白かったと思うのですが、
結局単なる場面切り替えの手段のようになってしまったのも残念。
どこにいても、誰からも存在を認めてもらえないという無名氏は好きでした。
「四畳半王国見聞録」森見登美彦 新潮文庫
満足度★★★☆☆
四畳半王国見聞録 (新潮文庫) | |
森見 登美彦 | |
新潮社 |
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「ついに証明した!俺にはやはり恋人がいた!」。
二年間の悪戦苦闘の末、数学氏はそう叫んだ。
果たして、運命の女性の実在を数式で導き出せるのか(「大日本凡人會」)。
水玉ブリーフの男、モザイク先輩、凹氏、マンドリン辻説法、
見渡すかぎり阿呆ばっかり。
そして、クリスマスイブ、鴨川で奇跡が起きる―。
森見登美彦の真骨頂、京都を舞台に描く、笑いと妄想の連作短編集。
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例によって、京都で繰り広げられる森見氏の学生ストーリー。
連作短編です。
個性豊かな面々が織りなす悲喜こもごも。
彼らが目指すのは真理の追求か
はたまた桃色ビデオか、
ついには無限につづく「四畳半」の王国か。
面白いといえば確かにに面白いのですが、
四畳半で思い出すのは、かの「四畳半神話大系」。
あのどこまで行っても四畳半が続くSF的無限四畳半の世界に魅せられた私としては、
こちらはやや物足りなく思われました。
森見氏が四畳半に抱く愛着はよくわかりますが、
それについては「神話大系」でやめておくのが賢明だったのではないでしょうか。
今作中、誰が見ても絶対に睡魔に襲われるという映画作品、
これなどはむしろ不眠に悩む人の福音であるかもしれません。
入眠映画として、DVDで出せば絶対売れるのになあ・・・・。
例えばある学生の虫歯をず~っとクローズアップしていくと
その親知らずの虫歯の山中を迷子になってさまよっている男がいる。
その男の傍らに一匹の蝸牛がいて、
その角のてっぺんに鴨川が流れており、
その両側に京都の市街が広がっている。
・・・というような、なんだかくらくらするミクロとマクロのつながりが、
とても興味深く思われました。
そこのところをもっと突き詰めていくと面白かったと思うのですが、
結局単なる場面切り替えの手段のようになってしまったのも残念。
どこにいても、誰からも存在を認めてもらえないという無名氏は好きでした。
「四畳半王国見聞録」森見登美彦 新潮文庫
満足度★★★☆☆