映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ばしゃ馬さんとビッグマウス

2014年10月07日 | 映画(は行)
夢はいつ諦めればいいのか



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脚本家を目指す34歳馬渕みち代(麻生久美子)。
学生時代からコンクールに作品を応募し続けていますが、落選ばかり。
シナリオスクールに通いながら、
ストイックに作品作りを生活の中心に据えて頑張る彼女を
「ばしゃ馬さん」と称するわけです。



同じく脚本家志望の天童義美(安田章大)は、
「俺が本気を出したらスゴイ」と口先ばかりで、
一度も作品を書いたことがないばかりか、人の作品を酷評。
これぞ、「ビッグマウス」。


夢を捨てきれない男女の葛藤を、恋模様を交えながらユーモラスにつづります。



夢はいつ諦めればいいのか。
先日見た「イン・ザ・ヒーロー」でもつぶやかれていました。
これぞ、人生の永遠のテーマであるのかもしれません。
夢を追って叶えることができるのは、ほんの一握りの人。
多くは子供の頃や若かりし日の夢を胸の奥底に抱えたまま、
遠い思い出にかえてしまう。
でもそれでもいいじゃない、と語りかけるような本作は、
とても優しくて心にするりと入ってきます。
何が何でもやり遂げるんだ、
歯を食いしばり、こぶしに血をにじませて・・・、
そうしてついに栄光をつかむ物語は確かに美しいですが、
私は時にはそれが逆に重く感じてしまうことがあります。
そんなに強くなくったっていいじゃない。
それも一つの生き方だよ。
挫折を知る人のほうが、人の痛みにも優しくなれるものですし・・・。



ビッグマウスくんが、何かユニークな作品で10年後くらいに賞を取れるといいな。

ばしゃ馬さんとビッグマウス(通常版) [DVD]
麻生久美子/安田章大
キングレコード


「ばしゃ馬さんとビッグマウス」
2013年/日本/119分
監督:吉田恵輔
出演:麻生久美子、安田章大、岡田義徳、山田真歩
共感度★★★★☆
満足度★★★★☆