映画と本の『たんぽぽ館』

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まほろ駅前狂騒曲

2014年10月26日 | 映画(ま行)
これまでのストーリーは本作のためにあった



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おなじみ、多田便利軒の味のある男二人、
多田(瑛太)と行天(松田龍平)のバディムービーです。
原作も十分堪能しましたが、本作の場合、
この主役の二人を見ているだけで楽しくて、
ストーリーを知っていることはさして問題になりません。



さて今回いきなりのピンチは、
行天の娘・はるをしばらく預かることになってしまったこと。
行天とこの娘の関係は、確かにDNA的に行天の娘なのですが、
これまで一度も会ったことがなかったのです。
行天はしかし、子どもの頃親に虐待を受けていたために、
子どもと接するのが怖いのです。
自分も子どもに対してひどいことをしてしまうのではないかと・・・。
そんな行天を知っているからこそ、
多田はいかに行天を納得させるか苦労するわけ。
しかし、行天のみならず、多田自身も
自らの子どもを幼いうちに亡くしてしまっているので、
子どもを預かることに若干躊躇があります。
そんなわけで本作は男二人に幼い女の子がプラスされ、
実に面白い化学反応が巻き起こされます。
二人がトラウマを克服する重要な場面です。



そしてまた、新興宗教団体を前身とする謎の野菜販売集団HHFAが登場。
この前身の宗教団体こそが行天の親が関わっていた宗教団体。
いよいよ行天の子供時代の様相が明らかにされます。
複雑な過去が行天をこんな風にしてしまったのか・・・? 
いやいや、そうでなくても行天は多分こんな風。
そんな気もしますけれどね。



結局のところ、これまでのストーリーは本作のためにあった、
といえるくらいに、行天のトラウマを掘り起こし、
決着をつけるストーリーであったと思います。
バスジャックの話はまあ、ご愛嬌。



・・・というわけで、彼らの過去については一応の決着がついてしまったのですが、
しかし、今後もまたこの2人の物語をぜひ見たいと思います。
三浦しをんさんの原作に続きがなくても、
シリーズで続編がみたいなあ・・・。



「まほろ駅前狂騒曲」
2014年/日本/124分
監督:大森立嗣
原作:三浦しをん
出演:瑛太、松田龍平、高良健吾、真木よう子、本上まなみ、永瀬正敏

男二人の関係性★★★★☆
満足度★★★★☆