映画と本の『たんぽぽ館』

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アバウト・タイム 愛おしい時間について

2014年10月10日 | 映画(あ行)
タイムトラベルは幸せへの切符ではないけれど



* * * * * * * * * *

「ノッティングヒルの恋人」や、「ブリジット・ジョーンズの日記」、
「ラブ・アクチュアリー」、
女心をくすぐるロマンチック・コメディの名手、
リチャード・カーティス監督作品。
しかも、タイムトラベルものとくればもう、私としては外すわけには行きません。
しかし本作、SF作品というわけではありませんから・・・。
タイムトラベルは、ほんの一つの道具立て。
それよりも大切なものに気付かされる、
やはりさすがのリチャード・カーティス作品なのです。



イギリス南西部に住むティム(ドーナル・グリーソン)は、
チョッピリ気弱な青年。
女の子になかなか声もかけられず、ガールフレンドもいません。
21才の誕生日。
ティムは父親に重大な秘密を告げられます。
この一家に生まれた男たちには、タイムトラベルの能力があるというのです。

ただし、過去へ行って戻ってくるだけ。
未来へはいけません。
大きく歴史も変えられません。
ある日、メアリー(レイチェル・マクアダムス)という女性を見初めたティムは、
タイムトラベルを駆使し、ついに彼女のハートを掴んで結婚へこぎつけます。
そんなところでは、とても役に立ったこの能力ですが、
人の生死に関わることなど、
どうにもならないことも多くあることも知っていくのです。



タイムトラベルができるから幸せになれるわけではない。
肝心なのは、身の回りの愛する家族や友人との
「今」のひとときを大切に過ごすこと。
そういうあたり前のことに結局は帰っていく
ということが柔らかく語られていて、
全く「愛おしい」作品なのでありました。


決してイケメン過ぎず、優しくチョッピリ気弱というティムもいい感じなのです。
父親との関係も、“相克” などと面倒なものはなくて、
ひたすら互いを大切に思っている、というのはいいじゃありませんか。


ティムの父(ビル・ナイ)はタイムトラベル能力で、
本を一生分の2倍読んだと言っていました。
スゴイですね! 
確かに、そんなふうに時間を使えたらいいな。



その能力の使い方は人それぞれ・・・という話で、
でもお金は全然儲からないなんて言っていました。
普通に考えたら、競馬の結果を知ってから
過去に戻って馬券を買えば大儲けできる気がします。
しかし本作、そういう下世話な話は、一蹴されてしまいました。
(そりゃそうですよね!!)

原題はAbout Time
「愛おしい時間について」と副題を付けた邦題に拍手!!
愛おしい時間。
まさにそういう作品です。


「アバウト・タイム 愛おしい時間について」
2013年/イギリス/124分
監督:リチャード・カーティス
出演:ドーナル・グリーソン、レイチェル・マクアダムス、ビル・ナイ、トム・ホランダー、マーゴット・ロビー

時間の大切さ★★★★★
満足度★★★★☆