映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「寿フォーエバー」 山本幸久

2014年10月14日 | 本(その他)
幸せを演出するお仕事

寿フォーエバー (河出文庫)
山本 幸久
河出書房新社
 

* * * * * * * * * *

結婚式場・寿々殿に勤める井倉靖子は
男性経験ほぼゼロの奥手で、
仕事もなんだかうまくいかない全部崖っぷちのアラサー。
なのに他人の幸せのために働く彼女のまわりでは、
超ド派手婚(予定)カップルの破局の危機や、
近隣のライバル店出現など難題続きで…。
人生の一大イベントの舞台裏を、
笑いあり、涙ありでお届けするハッピーなお仕事小説!


* * * * * * * * * *

山本幸久さんのお仕事小説が大好きなので、
つい読んでしまいます。
本作では結婚式場に勤める井倉靖子が奮闘します。
実は、「奮闘する」とは書いたものの、
初めのほうの彼女、それが怪しい。
仕事は嫌いではなさそうなのですが、
どうも気合が入っていません。
そんな彼女が、職場の人達の助けを借りながら、
成長していく物語となっています。


互いをハリーとメロロンと呼び合う
超軽薄そうな熱々カップルの結婚式を受け持つ靖子。
この仕事がメインでストーリーが進んでいきますが、
この結婚式の行方は意外な方向へ・・・。
結婚は人生の大きな転換の場。
確かにいろいろなことがあります。


また、明らかに高校生と思われるカップルが式場の見学。
いかにも怪しい。
…しかしこのことがなんと意外な感動のラストへ私達を導きます。
サプライズ結婚式。
チョッピリ時代遅れ風のこの式場のスタッフが
気持ちをひとつにしていく様、なんとも心地よいですね。
本作、映画だとしたら、ラストはボリウッド風に、
出演者全員の思い切り楽しくポップな歌と踊り!!
これしかありませんっ!!

「寿フォーエバー」山本幸久 河出文庫
満足度★★★★☆