映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「本屋さんのアンソロジー」 大崎梢ほか

2014年10月22日 | 本(その他)
本への愛情は人一倍の皆様方で

本屋さんのアンソロジー (光文社文庫)
大崎 梢
光文社


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「本屋さん」をモチーフに、短編を一作書いていただけませんか?
書店をこよなく愛する作家・大崎梢が、
同じくらい書店が好きにちがいない人気作家たちに執筆を依頼。
商店街、空港、駅近、雑居ビル。
場所は違えど、多種多様な人が集まる書店には、
宝石のようなドラマが生まれる。
読めば笑えて、泣けて、心がふっと軽くなる、
そんな素敵な物語十編。

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「和菓子」「ペット」ときて、今度は「本屋さん」。
リクエストによるアンソロジーシリーズ第3弾です。
私も本屋さんが大好き。
「リクエスト」のお題としては申し分ないですね。
執筆陣は有栖川有栖、坂木司、乾ルカ、似鳥鶏、誉田哲也・・・
私の馴染みの方が少なくなってきた・・・。
しかし当然作家の方々は本が大好きな方ばかりなので、
本、または本屋さんへの愛情がどの作品にもにじみ出ています。


冒頭は有栖川有栖「本と謎の日々」
書店に勤める詩織が店で遭遇する不思議な出来事を、
店長がするすると解き明かしていきます。
様々な人がやってきて、そして去っていく書店。
だから色々なドラマも生まれます。
本作、書店テーマのミステリとしてはもっとも定番、オーソッドックス。
ではありますが、さすがベテラン。
本に関しての薀蓄も豊かで、謎解きも鮮やか。
文句なく楽しめました。


また、今どきのどこの書店でも悩みの種の万引きのことや、
個人書店が激減し、大型チェーン店ばかりになってきている現状など、
問題点に触れているのも、いいですね。
ただ、「和菓子」「ペット」のアンソロジーの中にあったような、
思い切った展開というか大胆な発想による意外なストーリーがなかったのが少し残念。
書店、という舞台があまりにも具体的過ぎましたかね・・・。


宮下奈都「なつかしいひと」
お母さんを亡くした僕と妹とお父さんが、
お母さんの故郷の実家に身を寄せることに。
切ない柔らかなファンタジー。
しんみりします。

「本屋さんのアンソロジー」大崎梢ほか 光文社文庫
満足度★★★☆☆