映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

THE ICEMAN 氷の処刑人

2014年10月28日 | 映画(さ行)
もし、夫が殺人者っだったら???



* * * * * * * * * *

実話に基づく・・・というのが信じがたいような話。
1960年代、米ニュージャージー。
妻と二人の娘に囲まれ幸せに過ごすククリンスキー(マイケル・シャノン)は、
周囲から良き夫、良き父と思われていました。
しかし彼は裏の顔を持ち、
実は20年間で100人以上を殺害したという超一級の殺し屋だったのです。
死亡日時を特定されないよう、遺体を冷凍保存するところから
アイスマンと呼ばれていたこの男・・・。
実は生来残虐性を持っていたようなのですね・・・。
人の生死や痛みに共感できないというか、
そういう方面に感情が働かない。
彼の弟も同様のようで、そちらはもっと早くから囚役されています。
こうなるとそれはもう一種の障害なのかもしれません。



ところが、彼の妻と娘たちに対する愛情だけはホンモノなのですね。
自分の本当の仕事をひた隠しにし、良い暮らしをさせる。
本作の冒頭も彼と妻とのはじめてのデートのシーンで始まる。
自分だけの手の中にある弱いものを守ろうとする、
その気持だけは真実。
…でもまあこれは、多分に家族=自分自身、
結局は自分が大事という、
「自分」の解釈がちょっと大きかっただけなのかもしれません。



わたしはむしろ、最後の最後に
夫の正体を知った家族の心の痛みを思うと、辛くなります。
殺人で得た報酬は大きく、彼女たちは並よりもずっといい生活をしていたのです。
そんな生活が、数多の死体の上に成り立っていた・・・。
私なら、夫がウソをついていたということより、
そちらのほうがショッキングな気がします・・・。
(変かな?)



こんなにも殺人事件が起こりながら、
犯人を特定できなかったというのもすごい話。
殺されたのがいずれも得体の知れないチンピラやゴロツキだったのでしょうから、
警察も本腰を入れていなかったとか・・・?



暗くセピア調がかった画面のせいか、
ちょっと古い映画のような肌触りがあり、
本当に60年代・70年代を感じさせられたのですが、
やっぱりつい最近の作品なんですよね!

THE ICEMAN 氷の処刑人 [DVD]
マイケル・シャノン,ウィノナ・ライダー,ジェームズ・フランコ,レイ・リオッタ,クリス・エヴァンス
Happinet(SB)(D)


「THE ICEMAN 氷の処刑人」
2012年/アメリカ/106分
監督:アリエル・ブロメン
出演:マイケル・シャノン、ウィノナ・ライダー、レイ・リオッタ、クリス・エバンス、ジェームズ・フランコ

心の闇度★★★☆☆
満足度★★★☆☆