映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

スターリンの葬送狂騒曲

2019年11月04日 | 映画(さ行)

ソ連政権内部の争いを辛辣かつコミカルに

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1953年旧ソ連、独裁者スターリンの死による政権内部の争いを
辛辣かつコミカルに描いた作品。
ロシアでは上映禁止となったそうです。
・・・まあ、そうでしょうね。
いくら体制が変わっても当のロシアの人々は、
こんな作品を面白がっては見られないと思います・・・。

 

それにしても、スターリンの独裁体制に逆らえば死の制裁があるだけ。
そんな中では彼の側近のトップ集団でさえ
スターリンの顔色をうかがいながらでしか発言できない。
恐ろしい社会です。

 

冒頭が振るっていますよ。
あるコンサートの最中に、スターリンから
「今の録音をあとで取りに行かせるので渡すように」と、連絡が入る。
ところがその日はラジオの生放送なので、録音はしていなかったのです。
青ざめたスタッフはコンサートが終わったところで、もう一度録音のために演奏をさせるのです。
会場のお客はかなり帰ってしまい、すると音が反響してしまってまずいので、
わざわざ近所の農家人たちを呼び入れたりする。

とにかくスターリンに逆らうと命がない、
そういう認識の上で人々が生活しているというエピソードでした。

 

さて、いよいよスターリンが脳卒中で倒れた折には、
側近たちが床に倒れたままのスターリンを取り囲み相談を始めます。
まず医者を呼ぶべきだが、まともな医者はほとんど獄中にある・・・。
そんなことを言いながら、それぞれ今後どうすれば一番自分に有利となるのか、考えを巡らせます。
果たしてスターリンは回復するのか?
そうでないとしたら後継者は?

 

こんなドタバタ劇の果てに、なんとも悲惨な結末があります。
それを指揮したフルシチョフこそが次の政権を握る訳なのですが・・・。

 

今もこんなことと同様な体制の国がありそうです。
それを思えば日本はまだましに思えるから不思議・・・。

 

スターリンの葬送狂騒曲 [DVD]
スティーヴ・ブシェミ,ジェフリー・タンバー,オルガ・キュリレンコ,マイケル・ペイリン,サイモン・ラッセル・ビール
ギャガ

WOWOW視聴にて>

「スターリンの葬送狂騒曲」

2017/イギリス/107

監督:アーマンド・イアヌッチ

出演:スティーブ・ブシェーミ、サイモン・ラッセル・ビール、ジェフリー・タンバー、ポール・ホワイトハウス、ルパート・フレンド、オルガ・キュリレンコ

 

狂騒度★★★★★

独裁と忖度度★★★★★

満足度★★★★☆