映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

マチネの終わりに

2019年11月08日 | 映画(ま行)

大人のピュアな恋愛

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パリ公演を終えた世界的クラシックギタリスト蒔野(福山雅治)が、
パリの通信社に勤務するジャーナリスト洋子(石田ゆり子)と出会います。
二人は惹かれあい、心を寄せていきますが、洋子には婚約者がいたのでした。
そして、ギタリストとしての蒔野をひたすらに見つめ続けているもう一人の女性。
二人の愛は結ばれるかに思えたのですが・・・。

 

私、本作の予告を見たときに、これは大人の性愛をも含んだストーリーなのだろうなと思ったのです。
ところが本作、大人の恋を描きつつ、意外にもピュアな物語。

 

蒔野はちょうどギタリストとして壁に突き当たっています。
自分自身の音楽を見失い、どう進んでいいのかもわからなくなってきている。

そんな彼に道を示すのは結局燃えるような愛ではなくて、
穏やかな日々の生活ということなのでしょうか。
いや、失い、行き場をなくした愛こそが、彼の心に深みを与えたのかもしれません・・・。

 

メロドラマにありそうな“邪魔”が入って二人の愛が壊れるところは、
ちょっとどうなのかと思いはしたのですが、
そのお邪魔虫の心境にも迫っているところで、納得はできました。

 

それにしても現代の恋愛は、スマホをなくしたらそれまで、というのが怖いですね~。

 

過去の出来事はもちろん変えることはできないけれども、
その出来事の意味は未来に変えることができる。
未来は過去を変えるというフレーズが、ラストに心に響きます。
40代男女、ピュアな大人のラブストーリーなのでした。

 

元々ギターを弾く福山雅治さんならクラシックギターも楽勝かと思ったのですが、
これがなかなか、いつもとは違うことが多くて苦戦したとのこと。
でも「指」の代役は使わなかったそうです。
クラシックギターの甘く切ない音色が、作品世界をステキに縁取っていました。

 

<シネマフロンティアにて>

「マチネの終わりに」

2019/日本/124

監督:西谷弘

原作:平野啓一郎

出演:福山雅治、石田ゆり子、伊勢谷友介、桜井ユキ、風吹ジュン、板谷由夏、古谷一行

ロマンチック度★★★★☆

すれ違い度★★★★☆

満足度★★★★☆