グレートマザー
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ニューヨーク、高級レストランでウェイトレスとして働くフランシス(クロエ・グレース・モレッツ)。
帰宅途中、地下鉄で置き忘れのバッグを見つけます。
地下鉄の事務所はもう閉まっていたので、
バッグ内のIDカードを頼りに直接バッグを届けに行きます。
バッグの持ち主は都会の片隅でひっそりと暮らす未亡人・グレタ(イザベル・ユペール)。
フランシスはグレタに今は亡き母への愛情を重ね合わせ、
次第に親密な付き合いを始めるようになります。
ところが、グレタのフランシスへの行動は次第にエスカレートして行き、
ストーカーじみてくるのです。
クロエ・グレース・モレッツとイザベル・ユペール。
米仏の有力女優の起用でどんなドラマが始まるのかと思えば、
なんともぞっとさせられるホラー作品でした。
若い女性につきまとうのが男性なら、まあありがちなストーリー。
でもここでは中年女性が若い女性につきまとうのです。
男女間の執着ではなくて、もっと根源的な何かがそこにはあり、
私にはとても興味深く感じられました。
グレタにはかつて娘がいたのですが、先に亡くなっています。
しかし、その娘に対する愛情が常軌を逸したものであったことがわかってきます。
愛情と言うよりも支配なんですね。
つまりグレタは“グレートマザー”なのです。
母性は人をやさしく包み込みますが、それが過ぎればがんじがらめにして支配する。
絡め取られてしまうフランシスが哀れです。
しかしまた、彼女を救う人物と手段は観客からは隠されており、
最後に真相が現れるところがまたステキ!
イザベル・ユペール、実に存在感のある方ですね。
さすがです。
<シアターキノにて>
「グレタ GRETA」
2018年/アメリカ/98分
監督:ニール・ジョーダン
出演:イザベル・ユペール、クロエ・グレース・モレッツ、マイカ・モンロー、コリレム・フィオール
恐怖度★★★★☆
満足度★★★★☆