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オリ・マキの人生で最も幸せな日

2021年08月12日 | 映画(あ行)

試合の勝敗がすべてじゃない

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1962年、フィンランド。
パン屋の息子でボクサーのオリ・マキ。
フェザー級世界タイトル戦でアメリカ人チャンピオンと闘うチャンスを得ます。
準備がすべて整い、あとは減量して試合にのぞむだけ、というタイミングで、
オリはライヤに恋をしていることを自覚します。
フィンランド中がオリに期待し、周囲は勝手に盛り上がりますが・・・。

実話に基づく話とのことです。
そのためか、全編モノクロの16ミリフィルム。
60年代という時代の雰囲気が良く表わされています。

オリとライヤは地方都市に住んでいるのですが、
この試合のためにヘルシンキに出てきて、
オリのマネージャーの家に滞在することになります。
けれど、ライヤはどうも周囲の人々から邪魔にされているように感じ、
そして実際何もすることがないので、一人で田舎に帰ってしまいます。
その時までオリはライヤのことを単なる友人というくらいの認識だったのですが、
このときやにわに自分が彼女に恋をしている!と強く思うのです。

まあこれはつまり、試合前のストレスのなせるわざなのかも知れませんが。
いつもニコニコとオリを見守っているライヤがいないことで、
オリはすっかりやる気をなくしてしまいます。

オリのマネージャーが先に「試合の日を人生で最も幸せな日にするんだ」というんですね。
勝利の日=人生で最も幸せな日というわけです。
でも、オリは国のためにとか誰かのために絶対に勝つ、
というような気持ちにはどうしてもなれない。
試合前のインタビューでも「勝ち負けはなるようにしかならない」
などといって関係者をやきもきさせます。

結局オリは、試合当日「人生で最も幸せな日」を過ごすのですが、
それはマネージャーが言っていた意味とは違うモノなのでした。

試合に勝とうが負けようが、自分が自分で在ることに変わりはない。
そう思えることは実はとても貴重なのではあるまいか。
オリンピックの勝負に敗れると、まるで人生に敗れたかのように
本人も周囲も落胆するなんていうのはあまり意味がないことなのかも知れませんね。

ライヤも、勝敗がオリの価値を左右するのものではないことを
当たり前に受け止めていて、だからとてもステキなラブストーリーとなりました。
ボクシングが題材でも、決してスポーツ根性物語ではありませんので、あしからず。

 

<Amazon prime videoにて>

「オリ・マキの人生で最も幸せな日」

2016年/フィンランド・ドイツ・スウェーデン/92分

監督:ユホ・クオスマネン

出演:ヤルコ・ラハティ、オーナ・アイロラ、エーロ・ミロノフ

スポ根度★★☆☆☆

満足度★★★★☆

 



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