あちらにいる鬼
* * * * * * * * * * * *
作家・井上荒野が、自身の父である作家の井上光晴と母、そして瀬戸内寂聴をモデルに、
男女3人の特別な関係を綴った同名小説の映画化。
人気作家の長内みはる(寺島しのぶ)は、
戦後派を代表する作家・白木篤郎(豊川悦司)と講演旅行をきっかけに知り合い、
男女の仲となります。
白木の妻・笙子(広末涼子)は、夫の奔放な女性関係を黙認することで
平穏な夫婦関係を続けていたのです。
みはるにとって白木は体だけの関係にとどまらず、書くことを通じて繋がっていると感じ、
かけがえのない存在となっていきますが・・・。
寺島しのぶさんと豊川悦司さん。
う~ん、大人の恋。
イヤ、「恋」というよりも、エロス的な愛ですね。
そしてまた、奔放な夫の女性関係を耐え忍ぶのが広末涼子さん、
というのがなんとも皮肉というか絶妙な配置というか・・・。
白木は、これまでにも何人も愛人関係を持った相手がいて、
その病気のお見舞いに妻を行かせたりするという、
なんとも信じがたいクソ野郎なのであります。
が、一定時期までは確かにそれが男の甲斐性みたいに思われていた時がありましたね。
でも女の気持ちは時代によって移り変わったりはしない。
女の平静を装うその胸の内に渦巻くものを、
男は想像しないのだろうか・・・。
ま、そんなクソ野郎を演じてもどこかカッコイイ、トヨエツであります・・・。
そんな関係を断ち切る決意で、自らを「殺して」出家するという道を選んだみはる、
というところでは、常以上の愛の深さがきわだちます。
そして今、世間を騒がせている広末涼子さん。
結婚し、子育てもして、最近一段と演技の幅を広げたなあ・・・と感じている所でした。
しかし、それにとどまらず、さらに魔性の女としての
技量までもをまとうことにしたのか・・・。
不倫は決して犯罪ではないし、それについてどうこう言えるのは当事者のみだと私は思います。
人の心はどうにもならない部分がありますよね。
なのに、まるで犯罪者扱いで世間は騒ぎすぎ。
いいんですよ、堂々としていれば。
そして一層役者としての幅を広げて帰ってきてほしい。
広末涼子さん、私は期待しています。
<WOWOW視聴にて>
「あちらにいる鬼」
2022年/139分/日本
監督:廣木隆一
原作:井上荒野
脚本:荒井晴彦
出演:寺島しのぶ、豊川悦司、広末涼子、高良健吾、村上淳、蓮佛美沙子
愛憎度★★★★★
満足度★★★★☆
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます