映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

去年の冬、きみと別れ

2018年08月10日 | 映画(か行)

くるくると現れる真相

* * * * * * * * * *

本作は題名からするとラブストーリーかと思うのですが、
そうではなく、サスペンス。
あの「教団X」の中村文則さん原作ですので、一筋縄で行くはずがない。


婚約者と結婚を間近にした新鋭ルポライター、耶雲恭介(岩田剛典)。
天才写真家・木原坂雄大(斎藤工)が関わる盲目の女性焼死事件について調べ始めます。

ストーリーが進むごとに現れる新たな局面。
そしてそれぞれの登場人物が持つ心の闇。

例えばーーー
耶雲はただ意欲に燃えるルポライターなのではなく、はじめからある目的を抱いている。
彼の婚約者・百合子(山本美月)は、単なる心変わりで木原坂になびいたわけではなく・・・。
編集者・小林が耶雲の調査に乗り気でなかったわけは・・・



はじめに提示された構図がガラガラと崩れ去って、再構築されたときに現れる真相。
なかなか興味深いものでした。
結局、黒幕的存在だったのは・・・?



炎の中でもがき苦しむ女性の姿を、
救いだそうともせず、食い入るように見つめ、写し取ろうとする芸術家・・・
というのは、地獄変をもとにしていると思うのですが、
残念ながらそこのところのテーマにはさほど深入りはしていません。
ここをもっと掘り下げれば、作品にも重みはましたかも・・・とは思います。

それにしても斎藤工さんのこういう役、なんともピッタリで、いいですよねえ。
写真家も映画監督も似たような感じだし・・・。
でもそれを言ったら、耶雲の役は窪田正孝さんにしてほしかった。
悪いけれど、岩田剛典さんよりもドンピシャに思えるのですが・・・。

 

去年の冬、きみと別れ (初回仕様) [DVD]
岩田剛典,山本美月,北村一輝,斎藤工,浅見れいな
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

<J-COMオンデマンドにて>
「去年の冬、きみと別れ」
2018年/日本/118分
監督:瀧本智行
原作:中村文則
出演:岩田剛典、山本美月、斎藤工、浅見れいな、北村一輝、土村芳
ミステリ度★★★★☆
満足度★★★☆☆



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