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弥生、三月 君を愛した30年

2021年03月11日 | 映画(や行)

時は巡り巡って・・・

* * * * * * * * * * * *

1986年を起点として、3人の高校生の30年を、3月限定で描いていく物語です。

弥生(波瑠)と、サンタ(成田凌)、そしてサクラ(杉咲花)は、親友同士。
弥生とサンタは互いに惹かれながらも、
サクラがサンタを思っていることを知っているので、そのことは言い出せません。
そのサクラは病に犯されていて、高校3年の時に亡くなってしまいます。



ますます、思いを伝えられなくなってしまった二人は、その後別々の道を歩み始めます。
二人はそれぞれに結婚。
でも、離婚や、災害、配偶者の死・・・、いろいろな出来事があって、
二人とも、子どもの頃からの夢も絶たれてしまう・・・。

そんな時、30年の時を経て、今は亡きサクラからのメッセージが届きます。

 

30年を通して、自分の思いを打ち明けられず、
打ち明けたときにまた最大の悲劇が起こり・・・、なんとも切ない人生。
思い通りには行かないものですね。

作中、バスを追いかけるシーンが何度も出てきます。
始めは、高校生の弥生が乗り遅れたバスを必死で追いかけるシーン。
大声で「待ってー」と叫びながら走る、走る。
バスの後ろの窓から、サンタが驚いて見つめています。
いかにも、若さあふれる高校生。
実に印象的です。

その彼女が、後年、人生に疲れ果て、
行ってしまったバスを淋しく見送るシーン。
年月を感じます。

他に、サンタが弥生の乗ったバスを追いかけるシーンもちゃんとあります。

それから、電車のドアが閉まる寸前に行動を起こすというシーンの繰り返しもありました。
サクラの墓前で繰り広げられるかくれんぼシーンも、立場を変えての繰り返し。

巡る年月を3月だけ取り上げるという舞台立ての中で、
こうした繰り返しがとても効果的です。

東日本大震災から10年。
本作もそのことが弥生の人生に大きな影を投げかけることになります。
ラブストーリーとしても良し。
人生の悲哀を描くにしても良し。
今見るのに最適です。

高校生姿の波瑠さんと成田凌さんは、まだまだ結構行けるじゃないの!と驚かされました。

 

<WOWOW視聴にて>

「弥生、三月 君を愛した30年」

2020年/日本/110分

監督・脚本:湯川和彦

出演:波瑠、成田凌、杉咲花、岡田健史、小澤征悦

 

切なさ★★★★★

満足度★★★★★



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