映画と本の『たんぽぽ館』

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パッドマン 5億人の女性を救った男

2019年01月02日 | 映画(は行)

インドの立花萬平

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インド作品。
お約束どおりに歌も踊りもあって、けれど実話を元にしている感動作。

インドの小さな村。
ラクシュミ(アクシャイ・クマール)は、最愛の妻・ガヤトリ(ラーディカ・アープテー)と新婚生活を送っています。
彼は町工場で働いていて、個人的にも何かを工夫して人の役に立つものを作るのが好き。
ある時、妻が不衛生な布を生理時に使っているのを見て、
なんとか衛生的で安価なナプキンを作ることはできないかと思い立ちます。

本作の舞台は2001年くらい。
無論、インドでもナプキンは販売されていますが、
とても高価でいつも使うような贅沢はとてもできません。
この頃のインド女性のナプキン使用率は12%だとか・・・。
おまけに、生理中の女性は穢れているとされ、
生理の間中、室内に入ることができず、
外のバルコニーのようなところで過ごさなければなりません。
その女性の穢れについて男性が云々するなどもってのほか。
ラクシュミはなんとかナプキンの試作品を作って妻や家族、
そして女性の医学生などに試してもらおうとするのですが、
気味悪がられ、変態扱いされ、そして妻には「恥」だと言われて、
ついには村をでなければならなくなってしまいます・・・。
そこまでが前半。


いつもながらインド作品はやや長いのですが、
本作は137分と、それほど長すぎるというほどでもありません。



村を出たラクシュミはそれでもナプキンを諦めきれず、
お金をかけずに勉強するために、わざわざ大学教授の家に住み込んで下働きをしたりもします・・・。
そんな中でわかったのは、ナプキンの材料は綿ではなくセルロースで、
ナプキンを大量生産するオートメーションの機械も販売されているということ。
しかし、到底買えるような代物ではありません。
でも、その工程ごとに別々の機械を作れば簡単だし、安く済みます。
そもそも、そういうことが大の得意なラクシュミなのです
そして、彼の熱意に賛同した女性パリー(ソーナム・カプール)の協力も得て、
ようやく道が開けていき・・・。



なんといいますか、絶対に人の役に立つという信念と、
度重なる困難・逆境にもめげないというところで、
まさにインドの立花萬平さんだなあ・・・と思ってしまいました。
違うのは、残念ながら彼の奥さんは福ちゃんのようには夫を信じていなかった・・・。
けれど、別の女性が彼を支えるようになるというのが、興味深いですね。


そして、このナプキンづくりや販売は女性たちの雇用を生み出し、
女性の自立支援にもつながっていくという素晴らしい効果があったのです。
私は以前から生理用品の発達が女性の社会進出を推し進めたと考えているのですが、
本作を見て、ますますそのことを確信しました。
ニューヨークで演説するラクシュミの言葉は実に感動もの。
面白くてしかも感慨深い、トクマルのオススメ。


<ディノスシネマズにて>
「パッドマン 5億の女性を救った男」
2018年/インド/137分
監督・脚本:R・バールキ
出演:アクシャイ・クマール、ソーナム・カプール、ラーディカ・アープテー、アミターブ・バッチャン

不屈度★★★★★
社会への貢献度★★★★★
満足度★★★★★



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