映画と本の『たんぽぽ館』

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カオス・ウォーキング

2023年01月06日 | 映画(か行)

心の声がダダモレ

* * * * * * * * * * * *

2257年。
汚染された地球を旅立った人類は、新たな星「ニュー・ワールド」にたどり着きます。
そこでは、男達の頭の中、心の内が、「ノイズ」となって立ち上がり、
誰の目にも明らかにさらけ出されてしまいます。
ところが女性にはノイズは現れないのです。

ここで生まれ育ったトッド(トム・ホランド)は、母を幼い頃に亡くしていて、
そしてこの世界には母どころか、女性は一人もいません。
大人達は、「先住の野蛮なエイリアンが、女性を皆殺しにしてしまった」と言うのです。

ある時、トッドは地球からやって来て墜落した宇宙船の生存者
ヴァイオラ(デイジー・リドリー)と出会います。
ヴァイオラの存在を知った首長のプレンティス(マッツ・ミケルセン)は、
彼女を探しにやって来る母船を利用して、勢力を広げようと考えます。
そんなプレンティスからヴァイオラを守るため、トッドはヴァイオラと逃避行を始めます。

本作の「ノイズ」という発想がとても面白く思いました。

考えていることが、モヤモヤと煙のように立ち上がり、
音声や映像となって他人に知られてしまう。
強く思えば、その映像はよりくっきりとリアルなものになります。
そのためここでは思考がダダモレ。
なかなかしんどそうです。
どうしても人に知られたくない時には、必死で他のどうでもいいことを考えます。
そんな中で、より精神力が強ければ、ノイズを抑えることができるらしく、
首長プレンティスがそんな人物なのです。
まあ、自分の野心とか欲望が人に漏れないからこそ、この地位に立てたのかも知れません。

さて、トッドはものごころついて初めて「女性」と出会います。
ハードなSFにして、ボーイ・ミーツ・ガールなストーリーだったのです。

初めての女性を前にして、トッドの心は浮ついて、ついあらぬ妄想が湧いてきたりします。
ところがそれも相手にはダダモレ。
しかも、その相手のノイズはないので、何を考えているのかサッパリ分からない。
かわいそうなくらい、男の子には不利ですよね。
笑ってしまうほどに。

さてトッドは自分のいる町がこの世界のすべてだと思っていたのですが、
そうではなく、他にもこの星には多くの町が点在していたのです。
そしてそこには女性達も普通に暮らしている。

どうやら、プレンティスが自分の都合のよいように「真実」を創り上げていたようなのです。
権力者というのはそういうモノ・・・。

まあ、いろいろな奥深いことが裏のほうに見え隠れ、なかなか興味深い作品でした。

 

<WOWOW視聴にて>

「カオス・ウォーキング」

監督:ダグ・リーマン

原作:パトリック・ネス

出演:トム・ホランド、デイジー・リドリー、マッツ・ミケルセン、デミアン・ビチル、シンシア・エリボ

 

異世界設計度★★★★★

満足度★★★★☆



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