映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

パリよ、永遠に

2020年05月16日 | 映画(は行)

パリの運命を握る男

* * * * * * * * * * * *


ナチスドイツ占領下のパリ。
1944年8月25日。
連合軍が勢いを増し、ドイツ軍が敗走し始めています。
パリを手中にしていたドイツ軍も、もはや退却しか道はない。
パリ中心部にあるホテル「ル・ムーリス」では、
コルティッツ将軍率いるナチスドイツ軍が
ヒトラーの命令でパリの歴史的建造物を破壊する作戦を立てていました。
そんな時、パリで生まれ育ったスウェーデン総領事ノルドリンクが訪れ、
作戦を中止するよう説得しますが・・・。

実話に基づいた戯曲の映画化です。
そのため舞台は、ほとんどこのホテルのコルティッツ将軍の部屋。
ほとんど彼とノルドリンクの息詰まるような会話のやりとりで成り立っています。
スウェーデンは中立国で、ノルドリンクはこれまで、
連合国とドイツの架け橋的な役割を担ってきたようです。
ドイツ軍は退却する腹いせに、パリの多くの歴史的建造物を爆発してしまおうと考えたわけですね。
ノートルダム大聖堂、ルーブル美術館、凱旋門・・・、
おまけにセーヌ川に架かっている橋を爆破して川の流れをせき止め、
大洪水を引き起こそうとまでした・・・。
いやはや、とんでもないことです。
私でももしそれが実行されていたら、と思うとぞっとします。



コルティッツ自身も、この美しいパリの街を破壊することには少なからず抵抗を憶えていたのでした。
ところが、なんと、将軍は妻子を人質にとられ、
ヒトラーの命令に逆らえば妻子を殺されてしまうという苦しい立場にあったのでした。
日本の戦国時代か江戸時代じゃあるまいし・・・。
どこまでもとんでもないナチスドイツ・・・。
コルティッツは、ノルドリンクに問うのです。
「君ならどうする?」
返答に詰まってしまう、ノルドリンク。
そりゃそうです、私だって応えられません。



そして本作、戦時中にあった他国同士の信頼の物語なのかと思いきや、なんと!!
ノルドリンク、いい人そうなフリをして・・・。
しかし考えてみればやはりこれは戦争中のことなのです。
彼の言葉には、パリの町並みの存続と大多数の人名がかかっている。
とあれば、どんな手だって使いますよね。
ではあるけれど・・・、考えてしまう。
地味ながらも、心理的にジェットコースターに乗ったような感じのする作品だなあ・・・。

<Amazonプライムビデオにて>
「パリよ、永遠に」
2014年/フランス・ドイツ/83分
監督:フォルカー・シュレンドルフ
出演:アンドレ・デュソリエ、ニエル・アレストリュプ、チャーリー・ネルソン、ジャン=マルク・ルロ

歴史発掘度★★★★★
満足度★★★★☆

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿