緊迫感に欠ける・・・
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劇団に所属する7人の役者の元に、
新作舞台の主役の座を争う最終オーディションへの招待状が届きます。
集まった7人は、4日間の合宿で「大雪で閉ざされた山荘」という架空のシチュエーションで起こる
連続殺人事件のシナリオを演じることになります。
そして、ひとり、またひとりと参加者が消えていきますが、
これはあらかじめ決められた演出なのかそれとも・・・?
残った人々は互いに疑心暗鬼になっていきます。
ミステリではおなじみの、外界とは連絡を絶たれ、
閉じ込められた状況の中で起こる連続殺人事件という、雪の山荘のシチュエーション。
ところが本作中、始めからこれは演劇のための舞台設定ということになっていまして、
外は雪もなく、自由に出入りもできるのです。
一応スマホなどは全員分一カ所に集められてはいますが、
いざとなれば使えないことはない。
・・・という拍子抜けの場面から始まりまして、
う~ん、そのせいとは言いませんが、なんだか緊迫感に欠ける気がして・・・。
例えば、朝に「誰それが絞殺されて倒れている」という状況説明がされて、
その人物の姿が消えています。
けれど、死体はなし。
死んだふりの人物も居ません。
結局3日かけて3人が殺されているという状況説明だけがあって、
死体は登場しない。
いえ実は、井戸の底に死体があって皆がそれをのぞき込んでいるという場面はあるのですが、
その実態は映し出されません。
なのでどうにも、「そして誰もいなくなった」のような
ミステリアスなサスペンスを期待していたら拍子抜け。
元々彼らは演技だと思っているから、それほどまでの危機感を抱いていない。
だから危機感を感じなかったというこちらの感想は正しいのか?
いやいや、俳優のトップを目指そうという彼らが演技しているのだから、
それではダメなのじゃないか?とか・・・。
次第にこの作品のたどり着きたい方向まで不確かになってきてしまうという。
テレビドラマなどではすっかりおなじみの期待される俳優がそろいつつ、
なんだか無駄遣いのように思えてしまった作品。
さてさて、蛇足ではありますが、こういうシチュエーションの場合のヒント。
真犯人は、割と早く死んでしまった者の中にいます。
崖の下に倒れているとか、目の前でその死を直に確認できない人物というのが怪しい。
まあ、本作もそういう例からは漏れてはいないかな?
<シネマフロンティアにて>
「ある閉ざされた雪の山荘で」
2024年/日本/109分
監督:飯塚健
原作:東野圭吾
出演:重岡大毅、中条あやみ、岡山天音、西野七瀬、堀田真由、戸塚純貴、森川葵、間宮祥太朗
閉ざされた状況度★☆☆☆☆
危機感★★☆☆☆
満足度★★.5
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