映画と本の『たんぽぽ館』

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キリング・フィールズ 失踪地帯

2012年05月20日 | 映画(か行)
殺人地帯を一人の少女が行く



                  * * * * * * * * * 

米テキサス郊外に実在する犯罪多発地帯。
少女が次々失踪し、死体で発見されたという実話を元にした作品です。


テキサス市警の刑事マイク(サム・ワーシントン)は、
ニューヨークから転属となったブライアン(ジェフリー・ディーン・モーガン)と組んで仕事をしています。
少女の連続殺人事件はなかなか手がかりを得られずにいたのですが・・・。
そんな時、保護観察中でブライアンが気にかけていた
少女、アン(クロエ・グレース・モレッツ)が失踪。
彼女も、連続殺人犯の毒牙にかかってしまうのか―――?



いかにも荒廃したテキサス郊外の湿地帯が不気味です。
色調もかなりトーンを落としていて、全体にも地味な作品なのですが、
そんな中で、少女アンの存在感が光ります。
彼女は母親が娼婦で、家に客がいるときには、家を追い出されてしまうのです。
薄暗い道を行き場がなく一人さまよう少女に、
何か起こらないはずがないではありませんか!!。



クロエ・グレース・モレッツは、
「キック・アス」や「モールス」、「ユゴーの不思議な発明」などで最近すっかりおなじみですが、
今作ではその演技にもますます磨きがかかったように思えます。
暗い瞳の孤独な少女。
彼女の奥底には、自分の惨めな境遇への反抗心が感じられる。
彼女が居なければ、今作はいかにも暗く陰惨なだけの作品になってしまったかも知れません。
サム・ワーシントンに、ジェシカ・チャステイン。
二人は同じ市警の刑事ですが、実は離婚した夫婦。
殺伐とした光景に、人物関係までが殺伐としていますが、
それでも犯罪を憎む心は同じ。
顔を合わせればいつも憎しみをあらわにする二人ですが、
ラストのわずかまだいたわりが残っている、というシーンが素敵でした。



今“旬”の俳優陣の起用で
普通の犯罪捜査物にもかかわらず、
何かキラリと光る物を感じる・・・
不思議な魅力のある作品です。


「キリング・フィールズ 失踪地帯」
2011年/アメリカ/105分
監督:アミ・カナーン・マン
出演:サム・ワーシントン、ジェフリー・ディーン・モーガン、ジェシカ・チャステイン、クロエ・グレース・モレッツ、ジェイソン・クラーク



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