妻とネコさえいれば
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ネコをモチーフにしたイラストで人気を集めたイギリスの画家、
ルイス・ウェインの生涯を描きます。
イギリス上流階級に生まれたルイス(ベネディクト・カンバーバッチ)。
早くに父を亡くし、一家を支えるため、イラストレーターとして働いています。
やがて妹の家庭教師、エミリー(クレア・フォイ)と恋に落ち、
身分違いと猛反対されながら結婚します。
しかし、やがてエミリーは末期がんの宣告を受けてしまいます。
ルイスは家に迷い込んだ子猫にピーターと名をつけ、
エミリーのためにネコの絵を描き始めます。
上流階級とは言え、何もせずにお金が入ってくるわけではありません。
自らの才覚で、母親と多くの妹たちを養わなければならないというのは、重圧です。
このルイス・ウェインというのは、経済的な知識も才覚もなく、まさに絵の才能があるばかり。
なんとも風変わりな、芸術家タイプというべきでしょうか。
そしてなぜか、当時まだよく理解されていなかった「電気」について、
妙な独自解釈を持っていて、そのことで特許を取ろうなどと考えていた。
世の森羅万象は「電気」に操られているとでもいうような・・・。
だから本作、原題は「The Electrical Life of Louis Wain」となっています。
邦題とは全く別物なので、戸惑いますが。
彼の妻が生涯彼のそばにいれば、彼の人生は幸福といってもよかったのでしょうけれど、
妻を病で亡くし、その喪失感が後にもずっと彼を苦しめます。
それまでは「変人」というくらいのところだったのが、
明らかに精神の変調を来していく・・・。
まさに生涯妻とネコを愛した、というところでしょうか。
人の心というのは不可思議で、そして真実を映し出すものでもあるのですね。
ところでこのおかしな人物を演じきったベネディクト・カンバーバッチは
さすがというか恐るべしというか・・・。
<Amazon prime videoにて>
「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」
2021年/イギリス/111分
監督:ウィル・シャープ
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、クレア・フォイ、
インドレア・ライズボロー、トビー・ジョーンズ
ネコ愛度★★★★★
数奇な生涯度★★★★☆
満足度★★★☆☆
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