薬物問題へ、3者それぞれのアプローチ
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本作の前提として、薬物依存症の問題があります。
今アメリカで社会問題になっているという、それは処方箋鎮痛剤オピオイド。
これが極めて依存性が高く、過剰摂取で命を落とす者が頻発しているそうなのです。
さて、ここからがフィクション。
そこで、ある製薬会社ではオピオイドよりも依存性が低く、すなわち安全な薬剤を開発。
まもなく認可を得て発売も近い・・・というところで、
その薬剤の研究を行っていた大学教授ブラウアー(ゲイリー・オールドマン)が、
薬剤の重大な欠陥に気づくのです。
一定期間までは依存性の低いその薬剤は、ある時から急激に依存性を増し、
実験に使ったマウスは、絶え間なく薬液を摂取するようになってすべて死んでしまう・・・。
この薬剤が発売されれば、今よりももっと危険性が増すことになる・・・。
しかし、製薬会社側は、そのことを無視しようとします。
これまでにかけた開発費用等をムダにできない、と・・・。
製薬会社から多額の寄付を得ている大学もその圧力には勝てない。
教授はこのまま主張を続ければ職も家も失うことになってしまう・・・。
一方、薬物の捜査官ジェイク(アーミー・ハマー)は、
合成鎮痛剤オピオイド「フェンタニル」の密輸に関わる捜査のため、
密売組織に潜伏しています。
そして、とある大きな取引を企て、組織の一網打尽を図るのです。
また一方、シングルマザーで建築家のクレア(エバンジェリン・リリー)は、
行方不明のあげく、薬物の過剰摂取で亡くなった息子の
死の真相を単独で探り始めます。
3者がそれぞれの立場で、薬物の問題に向き合い奮闘する物語。
自らの職を失っても正しいと思う道を行こうとする教授もみごと。
そして、ジェイクとクレアが図らずも最後に同じ敵と対峙するようになるあたりもお見事。
見応えたっぷりの作品でした。
<WOWOW視聴にて>
「クライシス」
2021年/アメリカ/
監督:ニコラス・ジャレッキー
出演:ゲイリー・オールドマン、アーミー・ハマー、エバンジェリン・リリー、グレッグ・キニア
社会問題度★★★★☆
満足度★★★★☆
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