映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ベル・エポックでもう一度

2021年10月24日 | 映画(は行)

お好みで疑似体験

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世の中の変化について行けない元人気イラストレーターのヴィクトル(ダニエル・オトゥイユ)。
妻・マリアンヌ(ファニー・アルダン)からも見放され、家を追い出されてしまいます。

息子が父を元気づけようと、友人アントワーヌが始めた“タイムトラベルサービス”をプレゼント。
それは利用客の希望する「過去」を、映画の撮影セットで再現する体験型のサービス。
ヴィクトルは「1974年5月16日のリヨン」をリクエスト。
当時そのままの街並みにあるなじみのカフェ「ベル・エポック」で、
妻との出会いの時を再体験しますが・・・。

タイムトラベルサービスというのが面白いですね。
別にタイムマシンが出てくるわけではあありません。
映画の撮影セットを用いてその時代を正確に作り上げ、
エキストラもバッチリ時代考証に基づいた衣装を身につけます。
フランス革命の時代、第二次大戦下・・・お好みのまま。
でもヴィクトルはあえて自分の若かりし頃、
妻と初めて出会った日と場所をリクエスト。
そして妻の「マリアンヌ」役を演じた女優、マルゴに実際に恋心を抱いてしまうのです。
実はこのマルゴは、息子の友人アントワーヌの恋人なのですが・・・。

冷め切った妻との間柄を見つめ直すという意味では、
実に意義のありそうな体験ではありますね。
若き日の燃えるような恋も時が過ぎれば枯れ果ててしまう・・・
ということでもあるのかと思うと、ちょっと切ない。

それにしても、このタイムトラベルサービスはとても面白そうなのだけれど、
ものすごく高いものになるでしょうね。
セット、衣装、俳優、プロデュース・・・、
映画会社がサイドビジネスでやるのがいいかも。
ヴィクトルがプレゼントされたサービスは1日分だけだったのですが、
マルゴと会いたいがためにサービスを延長して、
ついには別荘を売るハメになったりもします。

さもありなん。

<シネマ映画.comにて>

「ベル・エポックでもう一度」

2019年/フランス・ベルギー/115分

監督・脚本:ニコラ・ブドス

出演:ダニエル・オトゥイユ、ギョーム・カネ、ドリア・ティリエ、
   ファニー・アルダン、ピエール・アルディティ

 

着想度★★★★★

夫婦の倦怠度★★★★☆

満足度★★★.5



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