ステージおきたま

無農薬百姓33年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

笑いの魔力!菜の花座『COVID FOR TWO』

2021-11-30 12:09:26 | 菜の花座

  コント9作品のオムニバス、なんて言っちゃったからなぁ。出演者、そろって笑い引き出すべく頑張っちまった。いや、こっちもその方向で演出した。どうしたら笑い取れるか?って、そこら中にギャグ散りばめ、くすぐりぶち込んで、仕草もコミカルを目指した。

 で、笑いが取れたか?って言うと、満足とは行かなかったな。もっともっと笑ってもらえると期待してたんだ。

 こいつは面白いぜ、って自信持ってたのが、あれれ、笑い来ないじゃん、なんてエピソードやシーンも幾つもあった。そこからすれば、狙いは外れたってことだ。力不足、歴然!

 逆に、思いがけずバカうけの大爆笑、なんてものもあった。今回作品のお笑い大賞を選ぶとすれば、躊躇なく「交通誘導員」だろう。道路工事現場で、片側通行の整理をしている人、よく見かけるだろ、あれさ。

 両側で旗を振るうち一人はジイサン、もう一人?はロボットって設定だ。やたらボヤキばっか多くて、仕事が疎かになりがちなジイサン誘導員に対して、ロボットは的確に指示を出し、ダメだしを繰り返す。

 娘、いや孫のような若いロボットに矢継ぎ早にやり込められるジイサンに笑い爆発。

 なんだってロボットと働かせるのか?ジイサンがたどり着いた結論は、ロボットへの全面代替への1歩だろ、ってことだった。が、ロボット決め手の一言は、「ジイサン、首にしない。ロボットの開発・維持費よりジイサンの方が安く雇える」。ここで大爆笑!

 なるほどなぁ、今じゃサービス配膳ロボットが幸楽苑なんかで動き回る世の中だもの、人間が押し出されちまう不安、お客さんも大いに実感してるってことだ。それと、相方が高齢ジジイ、これも身につまされるのかもなぁ。なんせ、観客の平均年齢、かなり高めの菜の花座だから。

 一方、お客さんにピンと来なかったのは、「コロナ離婚」だ。妻が陰謀論にハマって、夫との意識が隔たり、ついに出て行っちまう、って内容だ。

 実際に起こったコロナ悲劇の一つなんだが、ここら地方にゃそんな情報は伝わってない。高齢者の場合、SNSの利用者少ないし、離婚そのものだって、縁遠い。まして、コロナ陰謀論なんて、聞いたことない、って状況だから、はっ?何の話し、って、戸惑うばかりだったんだろう。SNSに引き回される妻とゲームに熱中する夫の行き違いを楽しんでもらいたかったんだが、それもここらのリアルじゃなかったんだろう。

 も一つ、コロナ感染者の在宅放置の問題を扱ったのが、「自宅療養者」。前半は、保健所への電話がつながらず苦しみもがく感染者の姿。

 ようやくつながった電話の相手は、およそ親切心のないマニュアル対応。

 そして、最後はその担当職員が実は非常勤雇用で捌く電話の本数にノルマがあるために、ついに粘る患者の泣き落としにかかる、ってかなりシュールな設定だ。さらに、突然の死!すげぇブラックだよな。

 俺としちゃ、これが一番面白いと思ってるんだが、どうも、笑いには結びつかなかった。真面目なんだよ、菜の花座のお客さん。役者の演技が迫真的だったこともあるが、苦しむ患者見て笑いなんて、とんでもない。まして、保健所職員がノルマ重視のマニュアル対応なんて、あり得ない!って、彼らのリアルで気持ちが遠ざかってしまったんだろう。

 と、振り返ってみると、題材と扱いの身近さってことは大切な要因なんだ。客筋によって、受けもいろいろ笑いも様々、ってこと、分かっちゃいるんだが、書きたいもの、手前が面白いと感じるものを書くしかないんだぜ。

 それと、もう一つ。コントって言ってしまうから、じゃあ笑いは?っとなるんで、ショートストーリー、短編芝居と考えれば、何も笑いが来なくたって全然差し支えないわけで、しんみりじわってのもありだ。大声上げて笑わなくっても、頭の片隅でニヤリってのもあるはずだから、爆笑に心煩わせるなんて無意味なことなんだよ。ついつい笑いの魔力に飲み込まれちまってたのがダメだったんだぜ。

 でも、あの魔の手はかなりしたたかななんだよなぁ、ロボットでバかうけした若手、すっごく喜んでたもの。おいおい、あんたの目指す方向はそっちじゃないからね、って、打ち上げじゃ水かけておいたけど。

 

 

 

 

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