大晦日、夫の友人H氏の手になる「手打ちそば」がクール便で届きました。
新そば粉は山形から取り寄せた出羽香だそうで、31日にぴったりと照準を合わせた、心憎いまでに技術とTPOのこだわりを感じるまさに芸術作品です。
信州での在職中に、名人手ほどきの「蕎麦打ち」を始め、今では同好者と蕎麦を栽培するところまで行き着いたマイスタ-の趣があります。気になっている部分をクリアしながら蕎麦打ち暦を重ね、今年の蕎麦には自信があると聞いていたので密かに期待していました。
茹で時間は一人前ずつ70秒、手早く流水で洗うこと3回、海苔は品質のいいものを使う旨の注意書きがあり、薬味の大根おろしにと、小ぶりの自作のものが添えられていました。
緊張の「茹で」を終えたら、これもだしにこだわったという天つゆでいただきます。
麺の角がピンと立ち白っぽい美しい蕎麦は、コシが強く、まさに「美人」という形容がぴったりです。茹でてもその「姿」が変わらないのです。淡白な甘味とほのかな香り、歯ごたえのある味わい深い一品です。「これぞ蕎麦だ!」と、放送界の要職に身を置いたH氏の人生が打ち込まれている蕎麦を堪能しました。
適当な濃度のあるそば湯がこれまた美味しくて、少量の天つゆを入れていただきました。
行事としてだけの年越し蕎麦でなく、心から味を楽しむことができたし、アシュケナージ指揮のN響の第9も素晴らしかったし、満足のいく締めくくりの大晦日でした。