「博多座」は、10年前に経済界、興行界、行政が一体となって、福岡市に設立された会社です。今ここで、18代目中村勘三郎の襲名披露公演が行われています。
各地での襲名公演が話題を集めただけに、チケットは入手困難なのですが、友人を通じて、公演前に1時間ほどの勉強会がセットになったチケットが手に入りました。なるほど、歌舞伎を正面からだけでなく裏側から見てみると、歌舞伎の奥深さがわかり、楽しさも倍増します。
写真撮影は厳禁で、これは宣伝用のパネルです。 襲名披露口上では、こんな裃姿の幹部俳優がずらりと並び、個性を生かしたお祝いの挨拶がなされます。伝統の重みと格式の厳粛さ、華やかさ、そしてちょっぴりの笑いを交えたサービス精神に、ゆらぎのない大歌舞伎のゆとりを感じます。
勘三郎の後継者として、勘太郎・七之助兄弟が立派に育っています。特に『雨乞狐』で野狐の五変化舞踊をこなした勘太郎にはため息が漏れていました。狐らしい切れのよい動き、早変わりの踊り分けと表現力、体の柔らかさには、若さばかりでなく相当の努力のあとが感じられます。勘三郎さんも期待していると思います。
グランドオペラがゴージャスな織物の衣装なら、歌舞伎は美しい染の衣装だと思いました。着物は、デザイン・布の材質と織り・染め・家紋・・・と日本の風土の中で生まれた素晴らしい芸術品だと再確認しました。
歌舞伎は難しい・・・が頭に浮かびます。でも、これを手助けしてくれるのが「イヤホンガイド」。舞台進行に合わせて、筋立てや所作の意味が解説されるいわば実況中継で、歌舞伎が気楽に楽しく観れるようになります。無料で利用できるのも観客動員の保持につながっているのかもしれません。
歌舞伎は、まず見る事が大切で、感性で美を感じとる演劇だとか・・・。だからでしょうか、海外公演でも行く先々で、総合芸術として絶賛と喝采を浴びているとのことです。
歌舞伎は、歌舞伎俳優と観客がともにに守り育てていくべき日本の芸術なのですね。有名人からのご祝儀がこれまたずら~りでした。