一度は行ってみたかった国。ぜひ観たかったゴッホ美術館とオランダ国立博物館とマウリッツハイス美術館。一度は目にしたかった本場のクリスマスイルミネーションとクリスマスマーケット・・・。たまたま恰好のパックツアーを見つけました。
いつもはトランジットに使うスキポール空港も、今回は目的地がここだから、成田発の直行便で割と楽なフライトになりました。巨大な空港から10分ほどのホテルに二連泊です。ネットの口コミ情報通り、朝食がおいしくて嬉しいスタートでした。
アムステルダムは水の都。縦横に張り巡らされた運河は、川幅も広くヴェネチアとは違った趣があります。陸上より高い費用をかけてでも運河の水上生活を選んだ人達は、カーテンを広々と開けて生活をオープンにしているので、市民の生活が垣間見られる楽しさがあります。モデルルームの展示会場のように、清潔に整頓された室内にはもう脱帽です。 運河クルーズならではの水陸両方の景観が楽しめました。
もう一つの特徴は自転車専用道路の整備。自転車のマークが描かれています。排ガス規制を生活の中に日常化させて、自転車がスーイスイ!ハンド・ブレーキではなくフット・ブレーキで走る自転車はデザインもシンプルです。自転車>人口と言われるほどの自転車大国。レンタサイクルも整備されています。
アムステルダム国立博物館の目玉はレンブラント『夜警』と、フェルメール『牛乳を注ぐ女』『青衣の女』。他の17世紀オランダ絵画黄金時代の圧倒的なコレクションも絶対に見逃せません。ツアーの見学時間だけではとても足りません。そこで私たち二人は許可を得てグループから離脱。これからはフリータイムを楽しみました。2連泊だからこそできる小技です。
ゆっくり観終わった後で遅い昼食。カフェでクラブサンドウィッチをがぶり!パンがおいしいのです!紅茶は、お湯の入った蓋つきのグラスとティーバッグもってきます。味気ないけど、オランダとベルギーのホテルでもそうでした。習慣なのでしょうか。
ここから歩いて10分足らずのところにゴッホ美術館があります。半円形の新館の設計は黒川紀章氏。一度は訪れたかった美術館です。ここは若い人も多く、チケットを買うのに20分ぐらいは待たされました。
生前には、世間にほとんど認められることもなく、最後は自らの命を絶つという悲劇的で短かすぎる激動の人生を送ったゴッホ。10年間に800枚もの油彩制作は、何かに突き動かされたような気がします。
理屈抜きに先に心に訴えかけてくる絵。一度心に飛び込んだら出ていかない絵。アルル時代の『黄色い家』『寝室』には、南の明るい日差しの中にひと時の安らぎを得たのでしょうか。明るい黄色の、タッチも静かな絵になっていてホッとします。晩年の鮮やかで強烈な色彩と荒いタッチの『カラスの群れ飛ぶ麦畑』には感動と胸苦しさを覚えました。
緯度の高いアムステルダムは4時になると暗く冷え込みも厳しくなります。アムステルダム中央駅の前のホテルでボリュームたっぷりの海鮮料理とハイネケンで今日の締めくくり。
そのあと鉄道でスキポール空港駅へ。二階建てで、快適なシートはなかなか立派。これって指定券がいるのかしら・・・と思いながらも15分で目的地に到着。そこからシャトルバスでホテルへ。帰り着いたときは8時でした。8時間のフリータイムは、旅の印象を深くしてくれました。トラムも鉄道もチケットの買い方が難しく、それでも苦労した旅のほうが心に残ります。
この旅行の前泊を利用して、東京都立美術館「フェルメール展」で、フェルメールの7つの作品を観ました。その中にアムステルダム国立博物館蔵の『小路』、マウリッツハイス美術館蔵の『ディアナとニンフたち』も入っていました。現地で「今、日本に貸し出しています」なんて貼り紙の文字を見たら、きっとがっくりがっかりすると思って、先駆けて日本で観て正解でした。やはり貼り紙がしてありました。