夕方に終わったボランティアの後、すぐチケット売り場の窓口に行き当日券を入手。このところスケジュールがうまくいかずチケットを無駄にすることがあり、確実に行ける当日券を求めることに決めています。
諏訪内さんのコンサートは2度目で偶然にも10年前と同じ1月23日、場所も同じホール。ヴァイオリンは前回も今回もストラディバリウスのドルフィンです。
前回のコンサートはピアノのボリス・ベレゾフスキーとのデュオリサイタルで、1990年チャイコフスキー国際コンクールのヴァイオリン部門とピアノ部門にともに優勝した希望に満ちた若い二人の演奏でした。
演目は、古典派やロマン派とは違いプロコフィエフ、リヒャルト・シュトラウス、マスネ、バルトークの19世紀末~20世紀初頭の音楽で、心地よく聞くというよりはきらりと光る硬質的なメロディと弾きかたで、背筋をピンとして聴く・・・ものでした。
私的にはモーツァルトやブラームスのバイオリンソナタでも…と思うところですが、最近の演目はピアノにしろ19、20世紀のものが多く感じられます。演奏するのはかなり難しいようですが。
残念なことにアンコールは無し。何となく予感はしていたけれど、これだけ全身全霊を込めて演奏すればもう余力は残っていなのでしょう。3度目の拍手に応えて再びステージに姿を現して丁寧にお辞儀して終わりになりました。
♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;ストラディヴァリウスこぼれ話;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;
ストラディバリウスのオークションの額を数億円とよく耳にしますが、日本で所有していた人はニュースにも取り上げられたように自宅を売却して購入した辻久子、高嶋ちさ子、家族の協力で手に入れた千住真理子などでそんなに多くはないようです。管楽器やピアノは基本的に消耗品ですが、弦楽器は大事に弾けば弾くほど価値が上がり数億円というのが相場のようです。
諏訪内さんの使うストラディバリウスは、日本音楽財団から貸与された1714年制作で愛称「ドルフィン」。ドルフィンは、美しい裏版のニスの模様がイルカに似ていたところから名づけられたそうで、世界3大ストラディヴァリウスの一つといわれています。
ストラディバリウスのほとんどは日本音楽財団が購入し、ヴァイオリン20挺は、慎重な委員会の審査により国籍を問わず一流の演奏家や若手演奏家に無償貸与されています。貸与者はチャリティーコンサートを開き、収益金を音楽振興と福祉のために使っているそうです。文化遺産ともいうべき名器を大切に保有し、それを使って文化に貢献し、その益を有効に使うことは高く評価されていいと思います。
ストラディバリウス1721年製「レディ・ブラント」は、詩人バイロンの孫娘レディ・アン・ブラントが所有していたところから名づけられたものですが、2008年から日本音楽財団所有。それが2011年の東日本大震災の復興を支援するべくインターネットオークションにかけられ破格の12億円で落札され、全額が「東日本大震災支援基金」に寄付されたそうです。ほんの小さな歴史遺産が大きな役割を遂げて歴史がつながっているのを感じ、音楽という部門から災害復興に強く心を寄せていくことに心を打たれます。
現在総数600本といわれるストラディヴァリウスは、英、米、日、スイスの順で保有されており、日本には財団などに70本ほど確認されているとか。限りある世界の財産が大切に保護、保有されていってほしいものです。
ところでストラディバリウスはヴァイオリンに限らず、もっと大きいチェロなどもありますが、このようなすごい名器を、演奏家は飛行機に搭乗するときにどのようにして持ち運ぶのでしょうか?今は手荷物のサイズが厳しくなっていますから・・・。