今、福岡市美術館で「永遠の都 ローマ展」が開催されています。カピトリーノ美術館からの出展です。
夫のラジオ講座にカピトリーノ美術館のことが取り上げられていて、話題にもしていたので、二人とも「絶対に見逃せない!」と雨なのに出かけました。
見たかったのはこれ《カピトリーノの牝狼》です。精巧な複製ですが、もう本物を見る気分!
塩野七生『ローマ人の物語』にも、ローマ建国のシンボルとして、ロムルス、レムスの双子の兄弟が狼の乳で育てられたことが書いてあります。前753年の話です。
数々の有名なフレーズを残したカエサル。後世に作られたもっと格好よい像も見たことがありますが、前1世紀のこの彫像が真実を伝えているのかも。
《アウグストゥスの肖像》前31年、内乱を制してローマ帝政を開始し、絶大な権限を握ったものの、「皇帝」を使わずに「元首」として共和政維持のカムフラージュを貫きました。
五賢帝の一人トラヤヌス帝。ダキアを征服して、領土を最大にした皇帝です。
38mの《トラヤヌス帝記念柱》は113年建設。今も街中にそびえ立っていますが、旅行中には余りにも古代の建造物が多く、車窓から見ても「ああ、そう」で終わっていました。
今回はレリーフの一部が複製として展示され、詳細を間近に見ることができました。すごい!
こうして2000年も前の文明を今見ている・・・、やはりローマは永遠です。
《コンスタンティヌス帝の巨像の頭部》も複製ですが、近くの人物と比較すると、その1.8mもある大きさにビックリします。
全体像を想像すると、これを作らせたローマの皇帝の偉大さがわかります。
コンスタンティヌス帝が建設したコンスタンティノープルが1100年後に陥落する本を読了したばかりだったので感慨ひとしおでした。
《老女像》の顔の表情と皺、服の襞と流れに、これが2世紀の彫像かと感動しました。
他に、カラヴァッジョ、ティントレットの絵画もあり、カメラOKだったので存分に撮ってきました。
最後のコーナーのテーマは「カピトリーノ美術館と日本」。
明治維新の最中、岩倉具視を筆頭に46名が630日ほどをかけて世界を回りました。その時の見聞録の一部が展示されていました。
エッチングの漢字表記は《騾馬古時集院ノ残柱》
明治初期の海外文化への憧れと努力が直に伝わりました。これが美術教育の急速な必要、美術館の設置へと繋がります。
80点ほどの展示を二時間半かけて回りました。もう絶対に無理なだけに、夫の「ローマに行きたいところだけどなぁ」が切なく響きましたが、それを少しでも補ってくれる素晴らしい展覧会でした。